雑煮、またはモーツアルトのこと

わ〜い、お雑煮だ!

大いに雑煮、喰うふ也。
我輩の好物が餅であることは今更言ふまでもないが、折角美味しいお餅と餅菜(のやうな葉っぱ)を頂いた以上、雑煮にせない手はないだらう。先づは昆布でダシを取り乍ら椎茸を煮込み、醤油で味を整へる。其の後餅を投入し、或る程度煮込んだところに菜っ葉を被せて更に一煮立てすればハイ完成。かごいまのせうゆなのでちょっと甘口に仕上がったが、おダシも良く利いてゐて美味しく頂戴いたしまして候。
それにしてもだ、お雑煮のターフェル・ムジークとしてかけていたモーツアルトだが、何故このやうに全ての瞬間刹那ごとに新たな発見と喜びがあるのかしらむ。
     
越前塗り KOUKA 4.2布袋椀 朱 うるし OT-3 + テレマン:ターフェルムジーク(食卓の音楽)選集 = ?
     
     
我輩は自身鍵盤楽器演奏家なので、無意識のうちに購入したり聴き込む作品も鍵盤楽器の曲が多くなってしまってゐる。
しかし、昨日購入したモーツアルトのCDは5枚組。「Sonates pour violon et piano」のタイトル通り、うち4枚が所謂ヴァイオリンソナタなのだが(5枚目はピアノ小品集なのでオマケのやうだ)、機会ある毎に探してゐた Sonate en sol majeur K.379 がなんと1枚目の1曲目に入ってゐて、驚いた次第。
この曲は、第1楽章 序奏 アダージョ ト長調 4分の2拍子。主部 アレグロ ト短調 4分の3拍子。ソナタ形式と、第2楽章 アンダンティーノ・カンタービレ ト長調 4分の2拍子。主題と5つの変奏、およびコーダの2楽章構成。特筆すべきは第1楽章アダージョの冒頭、まどろむやうなピアノのアルペジオコードと、それに導かれて静かに演奏を開始するヴァイオリンの調和。感傷と安らぎ、癒しと切なさを全て備へた展開。この世にこれほど美しい音世界は他に余りないのではないかとさへ思はせる静謐の世界であり、音知りの人でも初めて聴けばソナタか協奏曲の第2楽章かしらむと思ってしまうことだらうね。夢の時間は6分ほど続き、次に短調アレグロ部分が展開する。
数年前にFMで初めて聴いて戦慄を覚へ、その時はケッヘル番号もうろ覚へのまま聴き終ゑてしまったのだが、普段購入対象から外れたヴァイオリンソナタであることだけが記憶されてゐた。其の後あてずっぽうで2枚くらいCDを買ってみたのだがこの曲とは巡り会へず、昨夜に至ってしまってゐたワケだ。
もっとも、このあてずっぽうの御陰様で、ヴァイオリンソナタのなかにも如何に珠玉のメロディーが溢れてゐるかてうことがよくわかったのだが、矢張りお目当ての曲をじっくり聴きたいてう願望は衰へず、結局昨夜から今朝にかけて10回以上リピートしてしまったのだ。
あとは楽譜を探さねば・・・