季節解題

天国のうてな

美しい夜明け。無人の街。明瞭な風景。寝不足の我輩を迎へてくれたのは、狂ひ咲いた深紅の薔薇と淡き桃色の睡蓮1輪。鍵は無いが、きちんと閉めておいた玄関の扉が少し開いてゐて、何者かが覗きたりける痕跡有り。常なること故、今更騒がず。
郵便受けには7通の書信。電脳を開けば、28件の電子郵件。眠るべきか眠らざるべきか、それが大問題だったが、余りの好天を惜しみてそのまま、所用雑用庶務雑務、掃除洗濯家事オヤジ、御江戸から直輸入の古典音楽CD大音量で響かせながら、せわしく動き回りたりける。そんなうちにも我輩が彼岸より発送せし書籍小荷物2箱届き、文献解題を瞬時に読み漁るも亦愉しからずや。

ベートーヴェン:交響曲第6番ヘ長調 作品68「田園」

ベートーヴェン:交響曲第6番ヘ長調 作品68「田園」

何か空気は乾き過ぎた風情であり、日陰でぢっとしてゐると寧ろ肌寒いやうな23度だったな、今天は。途中大いなる弛緩を求めて巨大銭湯に沈没してゐたものの、郵件処理や家事処理、日記処理や雑記処理は深夜にまで及び、丑三つ時にやうやう焉ぬ。華の御江戸で密かに仕入れたカレー粉の調合も、そろそろ開始せむ。