魁偉なる第7番の日
実は今夜が望月。
YouTubeにあった或る津波報道画像のBGMに、ベートーヴェンの第7交響曲第2楽章を合唱風にアレンジしたものが付けられてゐて、それが余りにも美しくも荘厳で、且つ物悲しくも情緒的であったので、ついつい落涙してしまった。
此の動画の制作主持人は西洋人のやうであったが、ものごとのはかなさのわかった人だらうな、とふと思った。*1
で、原曲のチカラを再確認すべく、手持ちのCDを最大音量で流してみる。
先づは「新ワルター大全集」から、大ブルーノ・ワルター指揮、コロンビア交響楽団の1960年前後の演奏から。此の堂々たる重厚な弦の共鳴には驚くべきものがあるが、古典的解釈とは言へない演奏だ。些かはっきり過ぎるステレオ感はデジタルリマスターの成果。此処では其の奥に立ちはだかる稠密な演奏そのものを感得すべし。
次にカラヤン&ベルリンフィルによる1983年の演奏。意外にもアーティキュレーションが曖昧で、情緒的な演奏。とはいってもそこはカラヤン。フーゲ以後の頂点は圧倒的な音圧で迫るが、歌として同期するのが難しい息遣ひであった。
も一つはクルト・マズーア&ゲヴァントハウスによる1990年の演奏。どちらかと言へばいちばん楽譜に忠実な演奏ではないかと思ふのだが、主旋律を歌う呼吸としてはこれが定番だらう。しかし、ワルターやカラヤンを聴いたあとでは、弦の重厚さに多少物足りなさを感じる。
これら三者での順列を述べるとすれば、将に記述通りてうことになるが、実はこれ意外にもクライバーの演奏を持ってゐる。しかし、こちらはDVDであるし、あの優美なる口調てうか演舞てうか振る舞ひは別格別世界別宮であり、比較の対象外である。
と言ふことで、古典的且つ保守的と言はれやうが、ブラームスの交響曲第一番同様、ワルターの演奏が圧倒的に好きだったことを再告白しておかねばなるまい。*2
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- アーティスト: ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団カラヤン(ヘルベルト・フォン),ベートーヴェン,カラヤン(ヘルベルト・フォン),ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
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ベートーヴェン:交響曲 第7番 イ長調 作品92 / 交響曲 第4番 変ロ長調 作品60 [DVD]
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スコア ベートーベン 交響曲第7番 イ長調 作品92 (Zen‐on score)
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電子ピアノの前に座ったまま、第7番をひとしきりヘヴィロテしてゐると、いつのまにか雷鳴と共に豪雨となる。側溝の清掃など最低限の対策は打ってあったが、未知の箇所からの雨漏りが開始。同時に、庭の水場に溢れた水の一部が竈場の土間に入り込んできた。慌てて作り置きの土嚢やぼろ布で閉塞したのだが、予断を許さぬ1時間であった。