周回環海


 
 

 
 

今日の伊勢湾・三河湾はベタ凪ぎ。
フェリーのすぐ近くを、スナメリの親子が悠々と泳ぎ回ってゐた。数十の大きな魚が群れて泳ぎ行く姿も見られたが、水面に背中を見せて泳ぐ彼らは何処から来て何処へ行かうとしてゐるのか。
そして此の海が、時に牙を剥く・・・
 
 

 
 

岬には馥郁たる春の香りが満ち満ちてゐたけれど、
 
 

未だ、祈りの届け先がわからない。
 
 
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原子力発電所の危機。
人間の奢りの果て。
自然を我が制御下に治めたなどと、人間側が勝手に思ってゐるだけのことで、もちろんそれは偉大な勘違ひか幻想に過ぎない。
言ふまでもなく、自然は人間になど興味は無い。
遺伝子操作も然り。此の世には未だ厳然と、所謂「神の領域」てうものが存在するのであって、人間は決して触れても立ち入ってもならないのだ。
それが正しい畏怖だ。
 
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東京電力の記者会見。
紙資料を配付しただの手元に無いだの、配った資料の何ページ目の何行目の数値が間違ってゐるので訂正お願いしたいだのマイクのスイッチが入ってゐないだの声が小さいだの、とてもIT技術や情報共有化の進んだ現代のこととは思はれない様相。発表項目のメインであるはずの放射線量数値を打ち間違へてゐると思へば、それを更に読み間違へたり、記者に其の間違ひを指摘されて3人も4人も居る担当者があたふたしたり。それに、喋り始めたと思ったら、手元の紙資料ばかり見て顔上げないし。
もう少し何とかならないものか。
それに安全院の会見。マニュアルか設計図をあわてて拡大コピーした質の悪いポスターをびらびらと貼ったり剥がしたり。性能の悪いOHPのやうな機械でさへ使いこなしてゐなかったりと、見てゐて情けなくなってくる。プレゼンテーションと言ふものを、なんだと思ってゐるのだらう。
兎に角、彼らが果たして広報の専門家なのか俄仕立ての伝達員なのかは知らんが、いい年をしたオトナがしどろもどろだったり限りなく手際が悪かったり、その程度が酷過ぎる。
あなたがた、いい年したオトナなのでしょ? しかも、現状は危機的状況なのですよ!
愛想の無い広報官でもいい。不細工な顔つきでもいい。せめて正確な情報を、分かり易く、正々堂々と伝へて欲しい。ただそれだけを切に願ひます。