沙魚釣人也

山盛りにて感謝いたし候へば

そりゃー確かにハゼ釣りは楽しいけど、釣ったハゼをどのやうに調理するかは問題だ。
工作員諸氏の曰く、新鮮なハゼなら刺身でも美味しいぞよと。御幼少の砌、何度もハゼ釣りをした経験は有るものの、この歳に至るまでついぞ刺身で食べたことは無く、殆どがから揚げか煮付けだったやうな記憶が有る。
今回頂戴したハゼは比較的小さなものだったこともあって、なかなか刺身として捌くのも難儀なこと。そこで一気にから揚げとして調理までしていただき、一人分にしてはてんこ盛りの大盛りで頂戴したハゼのから揚げは、それはそれは美味しく香ばしく、さすがにちょっと大きめの個体の頭部はエラの辺りは食べきれずに出してしまったが、小さめのものは頭から丸ごと、勿論骨ごと丸かじりで頂戴いたしまして候。
美味礼賛 <(_ _)>
さう言へば、お正月くらいしか見かけなくなったハゼの甘露煮も美味しう御座ゐますね。
    
さて、今天の工作活動は多彩。
先づは、昨天汗かき乍ら掘削したトレンチを、撮影したり測量したり眺めたり考へたりしたのち、またまた汗かき乍らも埋め戻し活動。先ほどまで見へてゐた地層の断面は泡沫の夢の如く、百年の人間様の営みもたった十数センチの圧縮された土層の中に収斂されて仕舞ってゐて、それはそれは憐れなるかな。
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嘗て弥生人が掘削したてう、ムラを囲む環濠の埋土に圧縮された無数の土器の破片。大小の石ころがぎっしり詰まった大地を掘削するためには、寧ろ金属器は不便であったことだらう。
先日発見された縄文早期の炉穴もまた、果敢にもごつごつした礫のいっぱい詰まった地山を掘り抜き築かれてゐたし、雁合遺跡の集石土坑は固結シルトの岩盤を刳り抜いてゐた。これらは7千年も8千年も前の話だが、2千年前も縄文人同様、地山の礫層と戦ってゐたのだ。
それが今では、「重機」と呼ばれる野蛮で攻撃的な風体の機械が操作され、地表を縦横に蹂躙してゐる。こんなものは恐らく、大自然と対峙し戦ふことによってアイデンティティーの高揚を得る体質の西洋人が発明した道具なのだらうが、人間だけでは何年かかっても掘削することの出来ない地表の改変を、いとも容易く為し遂げて仕舞ふ・・・
百年後にもし人類が地表に存在してゐるとすれば、嘗て人間様の行った様々な工作活動は、幸として言ひ伝えられてゐるのか、はたまた不幸として語り継がれてゐるのだらうか。
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