黒夢

いつのまにか花の咲きにけるらむ

ブラックホール生成? LHCに懸念
            
Anne Minard
for National Geographic News
September 9, 2008
                
世界最大の粒子加速器となる大型ハドロン衝突型加速器LHC)が9月10日に運転を開始する。これについて一部から「地球をのみ込むようなブラックホールが発生するのではないか」と懸念する声が上がっている。
ほとんどの物理学者はこれに対して加速器の安全性を強調しており、この実験は人類の進歩に欠かせないものだと述べている。
だが、本当に問題はないのだろうか?
実験は、スイスとフランスの国境にまたがる郊外に造られた地下トンネルで行われる。1周27キロの加速器が始動したとき、果たしてブラックホールは生まれるのか?
今回の実験では、宇宙誕生時のビッグバンから1兆分の1秒後の状態が再現され、宇宙を満たしていると考えられている暗黒物質ダークマター)の正体が明らかになる可能性がある。また、理論的には証明されているが、いまだ存在が確認されていないヒッグス粒子の発見も期待されている。ヒッグス粒子は、ビッグバン直後にほかの粒子に質量を与えたといわれており、“神の粒子”とも呼ばれている。
実験過程でブラックホールが生じる可能性もあるが、その確率は極めて低いと大部分の物理学者はみている。しかし、万が一発生した場合には、地球が丸ごとのみ込まれるような最悪のシナリオも想定されるとして、何人かの科学者が運転計画の停止を求める訴訟を起こしている。
訴えを起こした科学者は、この加速器の稼働が「文化的大量殺りく」を招くと主張している。これに対して米連邦地裁はいまだ判決を下していないが、欧州人権裁判所は別の同様の訴訟で却下を申し渡している。
カリフォルニア大学アーバイン校の理論素粒子物理学者ジョナサン・フェン氏は、「ブラックホールが生じるには、この加速器で発生可能なエネルギーの何十億倍以上ものエネルギーが必要だ。さらに、生じたとしてもその大きさは原子核を構成する陽子より小さく、ほんの一瞬のうちに消滅する。ほかの物質がのみ込まれるほど成長することはない」と語る。
しかしその上で同氏は、最悪のケースについても一応は想定すべきだとして、「万が一の場合、ブラックホールは徐々に成長し、地球をのみ込み始めるというシナリオが成り立つ」と続ける。
地球全体をのみ込んだブラックホールは、ゴルフボール程度の大きさでありながら、地球と同じ質量に達するという。そして、「太陽系の地球があった場所には、その小さなブラックホールが代わりに居座ることになる」と同氏は推測している。
ミシガン大学の研究員スティーブン・ゴールドファーブ氏は次のように話している。「この加速器を運営する欧州原子核研究機構(CERN)は、14年にわたる計画と建設のプロセスにおいて徹底した安全管理を考えてきた。第三者による監視委員会にはノーベル賞受賞者も複数いて、全委員が問題ないと評価している。いわれているような最悪の事態が起きる可能性はないだろう。第一、私の妻や子どももこの土地に住んでいて、加速器が始動しても避難するつもりもないのだから」。
                          
                       

                     
ホーキング博士、「LHC実験で神の素粒子は見つからない」に100ドルの賭け

【9月10日 AFP】英国の天体物理学者スティーヴン・ ホーキング(Stephen Hawking)博士(66)は9日、まもなく行われる巨大粒子加速器「大型ハドロン衝突型加速器LHC)」の実験について、「ヒッグス粒子は見つからないだろう。100ドル(約1万円)賭けてもいい」と語った。
                         
LHC実験で「神の素粒子」発見を目指す
スイスにある欧州合同素粒子原子核研究機構(European Organisation for Nuclear Research、CERN)は、ヒッグス粒子を発見することを目標に、10日にLHCを稼働させる。実験では、水素の原子核である陽子をほぼ光速まで加速させて衝突させる。 
素粒子が質量を獲得するメカニズムは長年謎とされてきたが、1964年に英物理学者のピーター・ヒッグス(Peter Higgs)がその謎を解く理論として「ヒッグス場」を提唱した。ヒッグス場とは理論上、素粒子に質量を与える場だ。仮説では、素粒子ヒッグス粒子に当たって抵抗が生じることにより質量が生じる。ヒッグス粒子はどこにでも存在するものの目には見えないため、「神の素粒子」と呼ばれることもある。
■予想外の粒子が発見される可能性も
今回の実験について、1988年の著書『ホーキング、宇宙を語る−ビッグバンからブラックホールまで』(原題 A Brief History Of Time)で知られるホーキング博士BBCラジオに対し、「実験では量子反応を観測できるよう高いエネルギーが生成されるため、ヒッグス粒子を発見するには充分だと考えられている。しかしわたしは、ヒッグス粒子を発見できなかったときの方がはるかにエキサイティングだと思う。つまり、何かが間違っていたということであり、考え直す必要があるということだ。ヒッグス粒子が見つからない方に100ドル賭けてもいい」と語った。
だが、一部の科学者は博士よりも楽観的だ。フランスの天体物理学者、Hubert Reeves氏は、スイスのル・マタン(Le Matin)紙に対し、「LHC素粒子物理学の世界を永遠に変えることになる『予想外の結果』をもたらすだろう」と期待を寄せている。
一方、ホーキング博士は、実験で既知の素粒子の「超対称パートナー」となる超対称粒子が発見される可能性も指摘している。超対称粒子は銀河同士を保持する謎の暗黒物質ダークマター)を生成している可能性があり、この発見はひも理論を裏付けるものでもある。「LHCで何が発見されても、あるいは発見されなかった場合でも、宇宙の構造について多くの手掛かりを与えてくれるだろう」と博士は締めくくった。(c)AFP
                             
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どうせ人類が絶滅するなら、地球上に於けるブラックホールの発生と、それによる世界の崩壊を見てみたいと思ふ次第。
勿論、其の様子を月面か火星から観察できれば其れに越したことはないが、太陽系内では全てが併呑されて仕舞ふだらうからダメだらうね。
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南瓜の葉の繁茂のまにまに、いつのまにか曼珠沙華、既に花咲く直前の様相。