灯火の意味

嵐の中の灯火

我輩がチベットに並々ならぬ関心を抱き、伝助君の協力を得、念願叶って初めて彼の地を訪問したのが今から13年前。
その時はまだ青蔵鉄路無く、ゴルムドからの青蔵公路を使った入境と、ネパール側からの中尼公路からの入境がもっともポピュラーだった。
実は中国に関しては合計16回の入国実績を密かに誇る我輩であるが故、それ以前にも二度ほど、密かにチベット入境を試みたこともあった。しかし四川省成都から飛行機で入ることを強要されたため諦めたのが1回と、取り敢へずゴルムドを目指すため甘粛省蘭州からバスで青海省西寧まで辿り着いたのだが、其の直前、ラサで西洋人が "Free Tibet!" などと叫んだために緊急的に外国人の入境が制限されてしまひ、手配してゐた闇バスでの入境も不可能になって仕舞ったのだった。
三度目の正直とは良く言ったもので、念願叶ってネパール側から陸路入境を果たしたのが1995年の9月てうワケなのだが、その時はギャンツェ、シガツェ、ラサと言ふ三大都市を歴訪することが出来たのは良かったものの、憧れのカン・リンポチェ(カイラス)や西チベット方面の情報極めて少なく、かといって旅行社で自らランドクルーザーをチャーターするほどの甲斐性も予算も無く、青蔵公路でゴルムドまで出、長途汽車(長距離バス)で敦煌に向かひ、更に北上して河西回廊から中原の地に出たのであった。
(-_-)
                        
チベットのどこに惹かれるか、と尋ねられても即答は難しいだらうし、チベットのどの地方(町)が好きか、と尋ねられても返答は難しい。
便宜的な回答は無限に可能で、神秘的な色彩を残したチベット仏教であり、大小様々な仏教寺院であり、独特な高地風土に育まれた人々の営みであり、壮絶な大自然であり何もかもだ。
現在ではさまざまなテレビ番組が放送されてゐるし、チベットの歴史や仏教関連の研究書もいろいろ出版されており、日本に居ながらにしてチベットの自然と文化を疑似体験できるやうになった。しかし当然、旅をしてみなければわからないことがいくつかあって、例へばそれは360度全方位に展開する雪山の圧倒的な存在感であり、寺院の堂内に立ち込める線香の煙やヤクバターの甘い香りであり、赤銅色の肌の色を除けば余りにも我々に似たかむばせをした人々の表情などである。
平均標高が4000mを上回る高原で育まれた文化は、一見我々環海の島国に生息する倭人にとってはなかなか理解し難ひもののやうだが、チベット人の多くは日本人の多くが仏教徒であることをよく知ってゐる。僧侶に至っては、我が邦の高野山で念誦されてゐる教典が「理趣経」であることをも知ってゐる者も居たし、金剛界胎蔵界の両曼荼羅が両国で共有可能な法具であることも知ってゐた。
残念なことに、一見すると漢民族か韓国人と間違へられやすい日本人は、事あるごとに「リーピンネイ」「ニッポンネイ」「ジップンネイ」であることを表明する必要が有る。(ニッポンの国旗は漢民族以外には意外に知られてゐないし、漢民族も旧旭日日章旗を国旗であると勘違ひしてゐる人も多い)漢民族には頑なに笑みを見せることのない彼らだが、あなたがもし日本人であって、しかも仏教徒であるてうことが相手に伝へられれば、それはそれは歓待を受けることだらう。
初めて入境した時にはよくわからなかったことだが、長途汽車站でバスの切符を買わうとした時、ついうっかりと窓口の若者に行き先その他を中国語で伝へてしまったのだが、視線の鋭いチベット人青年の受け答へは全て英語であった。彼らの殆どは強制的に北京語を学習させられてゐるのだが、日常会話は勿論チベット語であり、更に英語などの外国語をも学習してゐる場合が多い。これ以外にも、相手が外国人であると認識した場合、チベット人達から英語で話しかけられることがしばしばあったのだが、支配者(侵略者?)たる漢民族から強要された言語に対する嫌悪感が、このやうな奇妙な現象を引き起こしてゐるのだった。
今宵、大陸では新暦8番目の月の8番目の日の夜8時8分に開始された巨大な漢民族の祭典の開始を以て、此の地球の片隅の、一仮想現実としての脆弱な電絡網空間に浮遊する我輩のブログにおけるささやかな Free Tibet 運動は、一旦終了させることにした。影響の有無など問題ではなく、此のチベット問題は一人一人の良心に帰依する事象だ。
嘗て我が邦で、電絡網を通じて実際の示威活動へと結実した社会運動が有ったのか無かったのかは知らん。少なくとも、長野での灯火リレーに纏はる騒動が象徴したやうなアイデンティティーの危機を、もっともっと日常レベルに引き寄せる必要は確かに有る。
示威活動の呼びかけ人や主催者でさへ、当日いったい何人の人が、何処からどのやうに集まってくるのか見当も付かなかったてう事実が全てを象徴してゐるやうに、今回の灯火をきっかけに日本人としての意識レベルの新段階が覚醒させられた人々も多かったのだ。
あなたが国旗を掲げたり、国旗を振ったり、国旗を身につけたりしたことが有るのか無いのかはだうでもよろしい。今回に限り、経験は優先されない。しかし、自分の国の路上に溢れ、無数に押し寄せる五紅星旗を見て揺さぶられる「何か」は無かったか? 我が邦の、お互ひに見知らぬ人々が、手に手に持ち寄ったチベットの「国旗」を赤い旗が蹂躙する様子を見て、突き動かされる「何か」は無かったか?
愛国心だの義侠心だの、大仰な言葉など不要だ。正義だの大儀だの、重く偉さうな言葉も改めて引っ張り出して来なくてよろしい。ただ、あなた個人が、あなたそのものであることを証明する方法は有るか? あなたがあなたでありつづけることを保証する、なにものかは有るか?
チベットは一つの試金石に過ぎず、自己も刹那の存在に過ぎないが、我々が今此処に居ることの意味は、少なくとも問ひ質してみる価値は有るだらう。
今宵、我輩はチベットに思ひを馳せ、玄関前に小さなキャンドルを灯した。
(-_-)
                        

覇拿里荘隣田寺の情景
                   
 
                
 
こちらは東京新宿常圓寺の情景
                       
                          
改めて知っておいて欲しい事実

                     
改めて聴いておいて欲しい唱歌

                    
そして改めて確認しておいて欲しい紐帯

                   
                          
                             
                              
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さて、宮西遺跡。
調査も終盤戦に入り、調査区によってはそろそろ掘削にメドをつけ、壁面セクションの測量や土層注記、地点挙げ遺物の測量などに作業をうつさねば、終了までに間に合はないところも出てくるはずだ。
1区は結局、ほぼ全面に出現した砂利層から剥片類の出土が相次ぎ、ところどころに無遺物層である砂層の分布を見るところが面白い。
2区は中央に通したトレンチと平面で検出された上下2枚の砂利層の関係がいまひとつよくわからず、担当諸君も四苦八苦。結局、乱暴な括りで上部遺物包含層を除去してみたものの、余りにも表面の凹凸激しくてよくわからず。
3区は地点上げ遺物が100点以上に達し、なかなかのもの。剥片でも出土は嬉しいが、測量・実測煩はし。
その他、シルト層掘り抜きたりけるグリッドでは、じわじわと湧水も確認されたものの、明天はやはり何処か1カ所でも深掘りして泥炭層かたは粘土層などの基盤層を確認しておかねば・・・
(-_-;)
                        
                 
 
                    
 
                      
 
                   
さて、明天の現場説明会や如何に・・・
(-_-)
                    
                         
                         
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THIS IS JUST THE BEGINNING

In less than one hour our first candles will start shining in Dharamsala. Our flame will get brighter and brighter as the world turns, when millions and millions from over 150 countries will add their light to it. Our flame will be steady, warm and bright for 24 hours until the Olympic Games start.

What we are doing is nothing but great. We will effect change, and this is just the beginning.

Please stay tuned in the coming days to both our main action site, http://www.candle4tibet.org,
and to our amazing social network http://candle4tibet.ning.com/ .

In the 24 hours preceding the games in Beijing, we will show the world that when individuals, regardless of their nationality, sex, religion race or politics, unite and focus their minds, awareness and actions on an issue, they are able to effect change.

There are many great people amongst us, who due to many reasons do not have high self esteem. They are creative, intelligent, resourceful and beautiful. But they sit at home and feel useless and insignificant. We can change that.

There were countless emotional and moving moments for me in the past 4 month, but nothing made me feel so fulfilled more than an email I received this morning from one of our most dedicated volunteers. A person whose contribution to our campaign was nothing short than incredible.

Please allow me to quote her:

Dear David,

I just want to say best of luck with tomorrow. I can't believe the 7th is almost already here. All the plans are coming to fruition. I've really surprised myself with the things I've been able to do for this campaign. Thank you for giving me that chance and for believing me and trusting me with those tasks. It's really changed how I feel about myself and how I relate to the world. You really don't know what a wonderful opportunity this has been for me and how needed it was for me to find a community such as this one.

It is my life's dream to be able some day to make a difference with my photos and with my voice (which it has taken me many years to even begin to find) and to be able to make a living helping others some how. I feel that CFT has helped to show me that it's possible and that I do have some talents which can be put towards helping others.

This email might seem a bit... out of line and I apologize if you take it that way. One thing I've learned in my short life is to always tell those people who I appreciate and who I care about the truth.

I may have had a difficult life in the past and endure abuse and cruelty, but I feel as though I've completely stepped away from that past and instead of being controlled by it, I control it. I can use it to show just how much I understand things that happen in the world around me, and I don't have to hide it anymore. I don't have to be ashamed.

You taught me that. When I made that video--it was the biggest step forward I've made my whole life. I was amazed by your reaction and others reactions. I made something good, powerful, helpful...

I guess... I actually feel like a person, someone who's perhaps useful and able to make a difference.

I think that not only are we lighting candles for Tibetan freedom, but perhaps just as much for the freedom we've found on the journey getting here.

Love and thanks,

Qristina.

Qristina, you are brave and you are golden. We all love you.

I strongly believe that there are many like our Qris in this world. It is clear that if we unite all this talent, heart and goodwill, we can change the world.

Love

David


                         
                            
                         
                      
 【受難と祈りー、チベットを知るための夏】
       ★【満月ばあさんと子供たち】★
       http://tibet-free-tibet.com/

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 期間:前期2008年7月22日(火)〜8月10日(日)
    後期2008年8月19日(火)〜8月24日(日)
    火〜土曜11:30〜23:00/日曜〜18:00/月曜休
    展示会場は入場無料
 料金:映画&トーク各回 1200円/3回券 3000円
    フリーパス券 5000円
  ワイングラス注意ワイングラスオープニング&クロージングセレモニーは
    フリードリンク付きのライブを予定しているため
    それぞれ別料金となります。

☆イベントスケジュール
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=31033282&comm_id=3331734
トーク出演者
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=32417545&comm_id=3331734

 会場:space&cafe ポレポレ坐
    (東中野駅 JR西口or大江戸線A1出口 徒歩1分)
   Tel:03-3227-1405/mail:polepole@mac.email.ne.jp

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 私たちはチベットのことをほとんど知りません。

 どのような歴史と文化、信仰を持っているのか?
 どのようにダライ・ラマ法王を思慕しているのか?
 北京オリンピック年にチベットで起きたことの真実は何なのか?
 中国政府の言うように本当に分離独立を求めているのか?
 なぜ危険を顧みずヒマラヤを越え、亡命して来るのか?
 チベットの人々はどんな夢を持ち、どのような言葉で愛を語り、
 何を食べ、どんなお茶を飲み、どんなお酒を飲んでいるのか?
 チベットの人々はどんな時に腹を抱えて笑い、
 悲しみに沈む友達をどんな言葉で慰めるのか?
 チベットの人々の受難と祈りを、私たちは共有できるのか?

 私たちはチベットのことを知りたいと思います。

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 このイベントでは、
 できるだけ多様なチベットの実像に触れたいと思っています。
 亡命してきたばかりのチベットの子供たちの絵や写真の展示、
 ドキュメンタリー映画上映、チベット音楽演奏会、トーク etc.

 NGO『ルンタ・プロジェクト』 http://www.lung-ta.org/
 を立ち上げ、北インドダラムサラで、亡命したチベット人難民
 のために様々な支援活動をしている人たちがいます。
 そのルンタ・プロジェクトの全面的な協力のもと、チベットにつ
 いて詳しい人、ほとんどシロートの人、ただ出来る限りお手伝い
 したい人など、総てボランティアスタッフによる企画進行となり
 ます。会場は東中野ポレポレ坐の全面協力により実現しました。
                       
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 ☆展示(入場無料)
  ● 亡命政権の子供たちの描いた絵画
  ● チベットチベットの人々を撮った写真
   写真=野田雅也、森幹代 ほか
  ● モニター映像上映

 ☆映画スクリーン上映
 (1回券 1200円/3回券 3000円/フリーパス 5000円)
  ● 『モゥモ チェンガ』岩佐寿弥 監督
  ● 『チベット2002』岩佐寿弥 監督
  ● 『チベット チベットキム・スンヨン 監督
  ● 『ヒマラヤを越える子供たち』 Maria Blumencron 監督
  ● 『ダラムサラ秘蔵映像』全6本

 ☆トーク(金&土&日曜の映画上映後)
  ● 映画『モゥモ チェンガ』『チベット2002』岩佐寿弥さん
  ● 書籍『チベットドルマたち』岩佐靄子さん
  ● 岩佐監督映画の撮影カメラマン 田宮健彦 さん
  ● 映画『チベット チベット』キム スンヨンさん
  ● 書籍『風の馬 ルンタ』『バター茶をどうぞ』渡辺一枝さん
  ● 書籍『チベット研究文献目録』『風の記憶』貞兼綾子さん
  ●『ルンタ プロジェクト』代表 中原一博さん
  ●『チベット子ども村』 日本唯一の卒業生 カックン
  ●『I LOVE TIBET!』『チベット式』運営 長田幸康さん
  ● Coyoteチベタンオリンピック観戦記』画家 下田昌克さん
  ●『ダライ ラマ法王日本代表部事務所』代表 ラクパ ツォコさん
  ● 在日チベット人女性 ドルマ ツェリンさん
  …その他飛び入りゲストあり!

 ☆チベット音楽ライブ 2000円/2500円(フリードリンク)
  ● チベットの歌と民族楽器演奏
   川辺ゆか チベット音楽コンサート
 ☆講演会 1500円
  ● 訳書『チベッタン ヒーリング』梅野泉さんによる
  『ダライ ラマ6世の恋愛詩〜その謎を巡って』

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 企画=「チベットを知るための夏」実行委員会
 協力= ポレポレタイムス社
     ルンタ・プロジェクト(ダラムサラ+日本)
     (株)自由工房
     Ragos
     ランゼン・チーム
     チベットサポートグループ KIKU
     ダライ・ラマ法王日本代表部事務所
     多くのサポーターの皆さん

 当然ですが、このイベントによる経費を除いた収益はすべて
 ルンタ・プロジェクトにより難民支援のために寄付されます。
                  
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