渾沌氏の幻術

パッションフルーツのムースケーキ

夜中にふと目覚め、さりとて別に目覚めよと言ふ声が聞こゑたワケでもなく、夢にうなされたワケでもなく、ノドが乾いたワケでもなく、尿意を催したワケでもなく、兎に角結局何でもなく、それでもふと障子を開けて外を眺めると、矢張り通りの向かふの窓辺から白猫の視線。
(-_-)
                  
さて、8時過ぎには目覚めてしまつたが、花子さんは今天もお勤めの為既にお出掛けの様子。
暫く布団の中でふにゃふにゃだらだらとしてゐたのだが、隣家の鉄筋敷設や足場板の搬入が開始されて大変騒々しく、おまけに裏の路地のコンクリ打ちさへはじまって仕舞つた様子。到底二度寝に入る状況ではなく、本格的な起床を余儀なくされにけるかも。
朝食と称し、昨夜仕入れておいた食パン(このあたりでは5枚切りが存在しない?)を中心に、アジフライ、そして刻んだタマネギとニラをたっぷり入れた卵焼き、それに食品棚で秘蔵されてゐたハワイのコナ cafe au lait.
一通りの朝の儀式を済ませた後、遅れて出現した中島氏を置きて先に出る。今天の目的地は直接南千住故、先づはバスにて亀戸まで出て、其処から秋葉原乗り換への総武線。距離の割には直線的に結ぶ路線がないため、予想以上に時間がかかる。結局会場である珈琲屋バッハに到着したのは、お昼過ぎのことであつた。
ところが此処でトラブル発生。昨天同様、MacBookを起動させてKeynoteをスタンバイし、プロジェクターのケーブルを繋げども画像がスクリーンに引かれず。はてな、機器接続の順番と起動の順番を誤りせし故の出来事かしらむと怪しみ乍ら、先づはプロジェクターを再起動させども症状改善せず。次に電脳再起動すれども症状改善みられず。次にコネクタ部分を再確認後再接続し直せども画像出現せず。(音楽は問題無し)
(-_-)?
           
さてさて、昨天は何事もなく起動せし此の映写装置が、今天は如何なる理由に因りて機能せずや。時間は既に開始予定の午後1時近くになり、鶴岡先生ばかりか階下に客人方も次々に到着され、さすがの偉人も多少焦りの色を隠せず。
惑星直列の為せる技か、はたまた普段の悪行のバチが当たったのか、それとも女王メーヴの気紛れか・・・
故障の可能性を全てチェックすべく、限られた機材であらゆる接続を試し、取り敢へず同型の電脳を所持したりけるスタッフMYK嬢には宿舎まで本体を取りに行つていただくと同時に、マネージャー様には稔の為ケーブルコネクタの新品を買ひに電気街まで走つていただく。更には、鶴岡先生や島氏らと、万一幻灯映写が不可能な場合を想定し、さまざまな演説方法を考へるも、幻灯会目当ての観客総員35名様以上に同時に異国のイメージを喚起させることは至難の業にて、なかなか厳しき現状を再認識せり。
そんなうちにも既に予定した開演時間は過ぎ、鶴岡先生の判断で観客を入れ、先づは幻灯会の由来や数枚用意した資料の解説から開始していただく。ほぼ同時に電脳は届きしが、ターゲットモードを設定してKeynote軟件丸ごとの移植が必要であり、FireWireで直結してデータは数分で移行完了。しかし、移行先のMYK嬢の電脳をプロジェクターと接続すれども矢張り映像の吸引が起こらず、残された原因はコネクタの断線または端子の異常であることに絞られつつあった。
斯くなる上は、ケーブル購入に出向ひて頂きしマネージャー氏の帰還を待つのみと相成りしが、鶴岡先生の熱の籠もつたお話がブリギッド (Brigid of Kildare、Brigit、Bridget、Bridgit、Brid、Brideとも)に達した時、果たして、電脳画面の画像がプロジェクターに吸引され、前面の大きなスクリーンに投影されたのであった。
(-_-)・・・
                 
アイルランドの地理と風水 〜女王メーヴの墓〜』と題した今回の幻灯会は三部構成。
第一部は周遊紀行編。第二部はMEGALITH(メガリス)編。そして第三部はアイルランドからちょこっと離れ、おまけ的 STONEHENGE 編。それぞれ、1時間、45分、15分てうボリュームだが、休憩を挟むが故、総合計は3時間以上になつて仕舞ふのであった。
結局30分遅れで開始された幻灯本体であったが、消化された時間は予定通りで、しかも後半再度、鶴岡先生が熱気籠もつた解説や言葉の高揚を披露され、御陰様で観客の皆様方も満足感を得られた様子。取り敢へず、8月に予定された鶴岡先生主体的第2回の露払ひとしての意味合ひを持つた「第1回」の大役を、想定外の危機を含み乍らも何とか果たすことが出来たのも、皆様の御協力の賜物と深く感謝致す次第にて候。<(_ _)>
                   
(画像提供:中島智氏)
                     
                  
さてさてさて、幻灯会終了後は1Fのお店に場を移し、楽しい珈琲タイム。
次から次へとオードブルやスナックばかりならず、手作りソーセージや各種ケーキ、そして勿論美味しい珈琲まで頂戴し乍ら、聴講していただいた様々な皆様との会話を楽しみつつ、黄昏を迎へたのであった。それらは勿論、珈琲屋バッハ従業員皆様に因る完璧な総服務であって、幻灯会の聴講ばかりならず、夕刻に至るまでの悉皆お勤め、まさに頭の下がる思ひ。
さすがに我輩は幻灯会で激しく喋りしが故に消耗著しくあれども、初めてお会ひいたすさまざまな分野の方々との会話は楽しく、時間の概念を完全に消失して対話に没頭する始末。古き良き時代の文化サロンとしての珈琲店の姿が、此処に有った。
普段鄙の地に蟄居する我輩にとっては、なかなか得難き場の経験で御座ゐました。
                  
大多数のお客様はここまででお帰りになりませども、オーナーご夫妻を中心に、鶴岡先生や言叢社同人など10名様は上野の中華刀削麺館まで繰り出しまして、更なるディープな精神領域へ。瀋陽出身の小姐の運び来るさまざまな中華に舌鼓を打ち乍らも、其の余りに濃厚な会話世界に偉人の意識もしばしば遠のくほど。即ち、多羅腹マンマのタコダラブッヘ状態にして・・・
                    
兎に角、さまざまな難局の克服に御協力頂きし珈琲屋バッハの従業員の皆様やオーナー夫妻、そして関係頂いた全ての皆様に重ねて感謝致す次第にて候。<(_ _)> m(_ _)m <(_ _)>