春暁春宵萬金丹

満開的椛のシデコブシ

春宵一刻値千金
花有清香月有陰
歌管樓臺聲細細
鞦韆院落夜沈沈
           
             
春宵の秀でたるは言ふに及ばず、春暁のさやけさもまた、値万両。
此の昨今は、朝日と共に鳴き始める鶯の声にて目覚めるの日々。花の色の移らひは一刻の常態も許さず、人心の半時は昔を反芻して懐かしむ。
(-_-)
         
地球人との語らひは尽きず、昨夜は気付けば大深夜の午前三時様。
今更慌てる必要など無いが、取り敢へず七輪の釜の湯の熱いうちに食器類だけは洗って仕舞ひたく、がちゃがちゃとやってゐるうちに忽ち午前四時様。床に入り眠りに就いたのは四時半頃だったかしらむ?
夢うつつに鶯の声を聴き、やっとこさの起床は九時前のこと。既に地球人は中庭で花や鳥の動向を窺ひ、崩壊途上の小屋の傾きを探り、朝食を待ち構へてゐた様子。ごそごそといつものやうな朝食を設へ、のんびりと食べ始める。
予報では朝までには当地方にも雨雲が押し寄せて、今天は終日の雨模様になるはずであったが、昼前頃になっても曇り空のまま。レーダーで見るとあと暫くは持ちさうな様子だったので、ブランチの消化も兼ねて地球人と半島各地の巡検に出掛ける。
つわものどもの夢の跡、雁合遺跡一帯は日曜日てうに重機が稼働しており、やはり工期が間に合はないのだらう。先日までにあれほど拾ったはずの剥片など、排土の山を歩けばまんだいくつも見つけることが出来て改めて驚く。いったいどんだけ此の地中に埋蔵されてゐるのやら、想像すら出来ませぬ。
雁合遺跡を去る頃には曇天も臨界点を越ゑ、ぽつぽつと降雨開始。いったん表浜に出て、大山トンネルを通って椛の谷奥に直行。伊川津・椛のシデコブシ周辺には無数の散策客が浮遊しており、花も今が盛りたるを知る。
まだまだ蕾が無いワケではないが、椛のシデコブシは今将に満開時を迎へ、谷を渡る鶯の鳴き声や人々の嘆声、子供らのはしゃぎ声が相俟って春の風情は此処に極まり、心身ともに浄化され、蘇生する。
其ノ後至近の伊川津のシデコブシ方面へ向かふが、こちらは全体的にまんだ蕾多く、樹によってまちまちなので、来週にかけて見頃が続くでせうか。
ホームセンターに着く頃には雨もやうやう本降りになって来たので、いくつか花の苗など購入後一旦帰宅。地球人は遠路のため此処でお別れてうことで、我が庭のムスカリを進呈し、再見。奥様お子様に宜しくお伝へくださいまし。<(_ _)>