知るべきこと

杜子春の影

チベットへ旅行する方へ ◇
        
チベット人権民主センターTibetan Centre for Human Right and Democracy作成
    「チベットへの旅行者の為の状況説明書」より抜粋
          
【はじめに】
         
ここには、何を見て、どこで何を食べるか、というようなガイドは入っていません。 チベットから正確な情報を収集するのは、極めて困難なため、多少は詳細性に欠けることもあると思いますが、可能な限り、旅行者や難民達から寄せられた情報を使用しています。
これからチベットへの旅をされる方々が、チベットでどんな経験をされたのか、私達に教えて下さると同時に、その情報が世界中に伝わることが私達の願いです。
私達が「チベット」という場合、すなわち、アムド、カム、そしてウ・ツァンの3つの州を含む伝統的チベットを意味します。中国はチベット侵略後、チベットを3つの行政区分に分轄してしまいました。
アムドの大部分は青海省、さらにカムとアムドの一部が雲南省四川省、そして甘粛省内に合併され、ウ・ツァンと西カムの一部が「チベット自治区」として宣言されました。中国当局チベットとはチベット自治区の地域のみを指します。この状況説明書では、「チベット」という用語はチベットの人々から認識されてきた全チベットを指します。
         
【何故チベットを訪ねるの?】
           
仏教に興味が有るから
精神的意味合い
宗教
休暇
関心がある
トレッキング
中国の統治下にある変化を目撃するため
目的を持った休日
            
勿論、チベットを訪ねることよって独自の文化と風景を体験できるでしょう。それだけなく、中国の支配下にあるチベットで、人々がどのような状況下に暮らしているのかを、自ら目撃し、体験する良い機会でもあるのです。
明らかに、観光事業が中国政権に利益をもたらしていることをかんがみ、多くの人々は中国支配下チベットを訪問することについて、不安を抱いていることは知っています。しかし、私達はたくさんの人が、中国の統治下で急速に変化しつつあるチベットを訪れることを願っているのです。
私達は、中国政府に対して圧力をかけ続けることが大切だと思います。最も有効な方法は、チベットでの「本当の状況」の目撃報告です。チベットにおける観光事業が、中国政府に利益をもたらしているのは事実です。しかし、もし、その地域に旅行者が居なければ、1998年5月にダプチ刑務所でおきたデモのような事件について、中国側の報告のみが発表され、国際社会が真実を知ることはますます困難になるでしょう。チベットの状況について、自主性のある情報を得ることは大変難しいですから、旅行前にチベットについての知識を有する人は、チベットの人々とその他にとっても大きなプラスとなります。それゆえ、あなた方のチベット訪問は大変大きな効果をもたらすことが出来るのです。
中国当局は多くの旅行者、特に公式代表派遣者達に、チベットでの彼らの行動に対して厳しい制限を押し付けていると報告されています。1989年5月EUトロイカ人権使節団の報告によれば、全てのプログラム及び項目を中国当局に親密に監視され、あらゆる公式インタビューにチベット人役員と中国人が一緒に同席したということです。さらに任務中ずっと、しっかりと監視されているように感じたと、使節団より報告がありました。
客観的情報を独占する中国にとって、自由観光事業が最も有効なチャレンジなのです。チベットへの個人の観光客(旅行家)の数が増せば増すほど、中国当局による観光客への行動制限や、現地チベット人との接触防止をより難しくさせるのです。情報に接していない観光客は、中国はチベットへの侵攻以来、チベット地域にプラス面のみをもたらして来た、と誤って信じ込んでしまうかも知れません。たとえ、団体旅行の一員であったとしても、準備を整えた好奇心の強い観光客は、チベットの現状について非常に貴重な情報を収集することが出来るでしょう。大勢の観光客がチベット人接触することによって、中国の見かけだけのところを越えた、チベット世界における力強い洞察をもたらすことが出来るでしょう。
現在、ダライ・ラマ法王は世界中を駆け巡り、国際的支援に訴えています。そして、今も尚、増え続けている数多くの個人や仏教徒センター,政治家,様々なチベット支援団体が、チベットを援助し、人権妨害を案じ、サポートをして下さっています。しかしながら、チベットにおける国際的政策は重く閉ざされたままです。だから、貴方達のサポートとチベットへの観光客として得た情報は非常に貴重なのです。
             
チベット旅行に提案の一言】
          
○眼と耳を注意深くチベットでの現況を現実的に把握出来る為、最近の亡命者や帰国される旅行者からの直接情報を私達は信頼していています。チベット訪問中、自分の身の周りを良く観察してください。そして、出来るだけ写真を撮ってください。あらゆるものの写真、たとえバルコルに居るチベット人達の状況のようなものでも貴重なのです。
また、チベット人と会談する時は慎重に!!時に彼らは大きな危険を冒して情報提供のため、外国人に接近して来るので − それらの危険性を見くびらないでください。
           
○慎重に中国当局は、ガンデン寺院やラサのような観光地では、常に厳しい警備をしている。現在、ポタラ宮殿では監視カメラが設定され、主な寺院には制服と私服の警官が常駐している。僧侶の衣服での警官もいるかもしれないので、自分が政治的な問題について話す時は警戒を怠らない事。「公共安全の騒乱」を監視するため、ラサ周辺の屋根にもカメラが設置されている。上記に述べたように、もしも旅行者が人権侵害について積極的に情報を求めたり、西洋での独立運動の見解を求めたりなどは、たとえ同様の情報が自発的にせよ、チベット人にとって非常に危険のことかもしれません。
もし、チベット人が経営しているゲストハウスやホテルに泊まっていたら、彼らの普通の生活について話し合う機会を持って下さい。たったの一言「タシデレ」、という朝の挨拶だけでも現地の人達は大変喜びます。もしも、中国住民と接触出来たら、チベットで暮らしている彼らの見解について好意的に対話を交わし、彼らが地元チベット人に対してどのように思っているのかを聞いてみて下さい。
カトマンズ経由でチベットへ旅行する場合、何千人という亡命チベット人ダライ・ラマ法王とチベット亡命政府の本拠地である北インドダラムサラに寄ってから行くよう、計画してみて下さい。そこで亡命チベット人から、なぜ彼らが自分達の母国から逃げて来たかを知ることが出来るのです。
            
○出来る限りチベット人ガイドを選んでください:もしも観光ガイドを頼む場合、出来る限りチベット人ガイドを選んで下さい。現状では、旅行者が観光ガイドを選ぶことは出来ないことになっていますが、あらかじめ依頼すれば可能かもしれません。
              
○宗教的慣習に敬意をチベット人の宗教への熱意を常に観察し、敬意を表して下さい。カイラス山のような自然的聖地を含む宗教的遺跡を訪ねるときは、帽子を取り、適切な服装を着用すること。また、このような場所ではタバコを吸ったり、空き缶などを捨てないこと。寺院や仏像、その他宗教的遺跡がある時は常に時計回りで歩くこと。儀式等の写真を撮るときは、思慮分別を持つこと。決して僧侶や尼僧侶の頭をなでたり、正座中にまたいだりしないこと。チベットでは頭は聖なるものと見なされています。
有名な宗教的遺跡や大きな僧院で設置されている寄付金箱は中国当局によって回収され、委員会によって彼らのガイドライン(計画概要)に準じて分け与えられるものです。もし、寄付したければ、個々の僧に与えたほうがより効果的かもしれません。喜ばれる寄付としては、暖かい服(濃い、濃淡色のみ)、英語及びチベット語の本、食料、毛布、又は、小型カメラ、やフィルムなどです。小さな僧院では、それぞれの僧院の高僧に寄付をすれば、適切に使用されることはほぼ間違いないでしょう。
現在は、ダライ・ラマ法王の写真に対する取締りが厳しくなっています。受け取った人が後で大変なことになりますので、ダライ・ラマ法王の写真を配るのはやめた方が良いということです。
             
チベットの商人を支援チベット人の店から買ってください。バルコル地域では、まだたくさんのチベットの商品が売られています。他の地域はチベット人が商品を売っていますが、チベット人所有の店ではありません。もし、大量に購入する場合、それが実際には誰に利益をもたらすかを調べてください。チベット人によって経営され、所有されていた商売や仕事は、今では中国人「移住民」に奪われてしまいました。どこで商品が製造されたか、又はどこで食物が植えられたのかを聞いて下さい。
出来る限りチベット人所有のホテルに泊まって下さるようお願いします。現在ラサのチベット人経営のホテルは、ヤク、スノーランド、バナクショー、キレー、タシ・タルギェ、キチュ、カタ、ダシ、パタ、タルギェ、ノルタ・カンサン、シャンバラ、ションバラなどです。 (現在、漢族経営者に変っているホテルもあるかもしれません。)
             
チベット語を使用しよう:訪問者の方々は、中国人の業者や商人、企業家らとビジネスの交流の場において、チベット語で伝達を試みることによって、チベット語の重要性を強調できると思います。これは、もしも中国人がチベットにいたければ、彼らにとってチベット語を話すことが不可欠だと解からせるためです。これによって、チベットに移住した中国人達はチベット語の大切さを徐々に認識することでしょう。なぜならば、それが彼らの生活や商売に直接的に影響を及ぼすからです。旅行者の方々はチベット語使用の促進のために、現地のチベット人と出来る限りチベット語を使用するようにして下さい。
                            
【見学すべきものとすべき質問】
             
○中国の影響
中国人移民たちの生活状況は?
ホテルのスタッフや商人はチベット人か中国人か?
誰がビジネスを所有しているか?
中国語でどのぐらいの看板があるのか?
カラオケバーのような主に中国の顧客を引き付けるビジネスは他にはどのぐらいあるか?
        
チベット人
チベット人の生活状況はどうなのか?
失業者や税について調べ、チベット人の物乞いは大勢いますか?
健康管理や教育施設、そして教師の資格等について聞く
         
○宗教
寺院 ではどのぐらいの僧や尼僧を見ましたか?
毎年何人ぐらいの初心者を寺院に入れるのか? その選択過程はどうなのか?
僧や尼僧に出会ったら、仏教についての知識を調べて下さい。
再教育プログラムについて調べて下さい。
           
○言語
大部分のレストランや売店の主人らは、中国語とチベット語のどちらを話せますか?
チベット語で伝達できる中国人はどれくらい居ますか?
中国語で伝達できるチベット人はどれくらいいますか?英語を話せる中国人はどれくらいいますか?英語を話せるチベット人はどれくらいいますか?
チベットの人達はVoice of Tibet (VOT), Radio Free Asia (RFA), Voice of America (VOA)等のことを知っていますか?
            
○中国軍隊の存在
宗教的現場や道端ではどのぐらいの数の中国軍人がいますか?
軍隊の車の数はどのぐらい、また、彼らは何を運んでいましたか?
どのような検問にあいましたか?
これらの検問所では中国人やチベット人もチェックされていますか?
治安維持勢力に対してチベット人はどう感じているのでしょうか?
               
○環境
どのような環境的破壊を目撃したのか?
伐採や露天採鉱の現場を見ましたか?それはどこですか?
公害は大きな問題ですか?
                           
【して良い事と良くない事】
            
この状況説明書をチベットへ持って行かないこと
できれば、個人または小団体で旅行すること
公式集金場所で寄付するよりも、直接僧や尼僧、又は仏壇に寄付金を置くこと
巡礼者に寄付をあげてください
世界中にある亡命チベット人の団体に寄付することを考えてください
知識豊富なチベット人のガイド又はチベット人を雇っている旅行経営者を利用すること。もし、利用できない場合その理由を聞くこと
チベット人に物をあげたり、話をする時は個人的に接すること
チベット人が経営する商店やレストラン、ホテルなどを応援して下さい
現地のチベット人を要求して下さい
「有名な」観光地だけではなく、それ以外の所も訪問するよう励んで下さい
良いところも悪いところも写真を撮ってください
もっぱらチベット人が作った手芸品を買うようにしてください。アンティーク(骨董品)を入手しないでください、それらは寺院から盗んだ物が多いからです
チベットでは僧侶と尼僧侶の頭は聖なるものとして見なしているので、僧や尼僧の頭を触らないこと
宗教的慣習は尊重すること
聖地ではタバコを吸ったり、空き缶などを捨てたりしないでください
政治的問題を討論する場合は注意すること
         
【帰国された後】
             
貴方の情報は大きな変化をもたらすことができます。帰国され次第、Eメール、FAX又は郵便で私達に情報を送ってください。厳しい残虐行為の情報を直接聞いたり、大事な事件を目撃した場合、私達に至急お知らせくださるようお願い致します。チベットでの状況を監視するために、写真も大変役に立ちます。
             
チベット人権民主センターの住所は下記の通りです:
Tibetan Centre for Human Rights and Democracy,
Top Floor, Narthang Building,
Gangchen Kyishong,
Dharamsala 17 62 15,
H.P. India.
Tel./Fax: + 91 / 1892 / 2 33 63 or 2 58 74
Email: dsala@tchrd.org
Website: www.tchrd.org
                
地元の国会議員にチベットの問題を国会で提出するようにお願いすること
国会議員や政府に、ダライ・ラマ法王の「対話によるチベット問題解決」を支援するようお願いする
政府にチベットの政策を再検討するように主張しよう
政府に国連でのチベットの決議をサポートするように主張しよう
どこかのチベット支援団体(TSG)に加入するか、自分自身でTSGを設立してチベット問題について地元の人々にチベットに関する情報を提供してください
          
(―_―)
            
              
              
                
                 
今天、午前中はかなりの強風が続き、暖かな日を想定して現場に出向いた我輩は慌ててフード付きのヤッケを着込むこととなった。確かに、日差しは強く暖かさうであったのだが、なにせ吹き飛ばされさうな強風でありまして、肌寒く閉口いたしました次第。 
さて、昨天の想定外の大雨で大トレンチは水没し、水糸を張る必要が無くなって助かった? 調査区全体の地面にはたっぷり水分が浸透し、掘削には有利に。この際遺構検出も大いにせむとて、懸案だった直立石皿周辺を精査した結果、X15集石土坑に隣接して長楕円形の土坑プランを検出(K14)。早速両者を貫通するサブトレンチを設定し、其の存在の実態を調査開始。
一方、バーチャルなイベント・ホライズンをもとに発掘を続けたX13集石土坑は、北側の一部に不整形な焼土塊が帯状にみられる現象が確認され、今までにはない発見。包含される炭化物も下層に行くほど大量であり、土坑壁に沿って木炭の形状がそのまま残った部分もあった。
結局両者とも完掘はならず、明天以降または来週に持ち越しと相成り候へども、赤土によって覆ひ隠された下層には、まだいくつかの遺構が眠ってゐる可能性もあり、最後まで気が抜けない状況となりにけるかも。
(-_-)
            
 
直立する石皿(中央)と磨石(左)と大石の居並ぶ様子と、大きめの剥片が集中して出土する地点の遺物。
             
 
X13集石土坑 phase4 の集石の出土状況と、謎の焼土塊のひとつ。