大騒擾

嵐の来るらむ!

拉薩で今、何が起こってゐるのか。
新彊同様*1、騒擾の火種が年中燻り続けてゐることは言ふまでもない。広義のチベット族が居住してゐる地域は、中南海の定義する中華人民共和国少数民族居住地域としての西藏自治区だけではないが*2ポタラ宮を擁する拉薩が一つの中心地であることは確かなことだ。
2006年には拉薩への鉄路が開通し、漢民族を中心にした国内旅游客が恐ろしい勢ひで文字通り押し寄せ、商売目的の入植も激増し、昔の拉薩の雰囲気は今やバルコル周辺でさへ風前の灯火である。
今回の事件との直接的な脈絡は不明だが、既に其の予兆は其処此処にあった。埋み火の如く・・・
        

               

快挙だけでは言い表せない。凄い勇気、正義感、そして自己犠牲の覚悟の上でしか成り立たないパフォーマンス。
今月2日に中国・上海で行われたコンサートで、歌手のビョークが、当局から許可を得ていない「Declare Indepnedence / 独立を宣言しろ」を歌い、歌の途中には「チベット!、チベット」と叫んで、中国のチベット侵略を非難、不当性を痛烈にアピールしたとの報道に接してそう思った。
共産主義独裁国家の中国において、これがどれほど勇気の要ることか、世界で何人のアーティストにこんなことが出来るだろうか。今後の中国国内での活動は禁止されるだろうし、中国の全てのCDショップからビョークの作品は撤去されるだろう。商業主義だけでなりたつ自称アーティスト達には絶対まねの出来ないパフォーマンスだ。
それだけで済まないことだって十分に考えられる。中国共産党政府の性格から言っても、これから、ほぼ半永久に続く、中国政府及びそのエージェント達からの執拗な嫌がらせ、犯罪行為をも覚悟しなければ出来ないことだと思う。しかし、これほどのリスクを背負って発するメッセージこそが、アーティストだからこそ意味のある政治的メッセージだと思う。
「戦争反対」「環境保護」「子供を救え」など、何のリスクも無く、そして、言われるまでも無くほとんど誰もが知っている綺麗ごとだけを、自己宣伝目的で並べるたてるだけの売名アーティスト達のメッセージとの違いは歴然だろう。
そして、彼女は、それほどのリスクを負いながら、北京オリンピックの成功に向けてその陰湿かつ犯罪的な実体を隠蔽し、イメージだけを向上させようと言う中国政府の道具として利用されることを、スピルバーグ監督に続いて拒否したのだ。
チベット独立を勇気を持って高らかに歌い上げた彼女の歌声は全世界に響き渡っただろう。そして、大きなうねりとなって、世界が、今の中国政府にノーと言う言葉を突きつける日が来ることを確信した。
                     <3月13日18時10分配信 ツカサネット新聞 黒猫トム記者の記事からの引用>
                 
                 
アイスランドの歌姫、ビョークさんが今月初めに上海で行ったコンサートで「チベット独立」を支持するパフォーマンスを行ったことに関し、中国の周和平文化次官は13日、記者会見で「個別事件である」との見解を示し、北京五輪に外国人アーティスト招請をし、宣伝活動を担ってもらう方針に変更ないことを確認した。
ビョークさんは2日の上海コンサートで「ディクレア・インディペンデンス(独立を宣言せよ)」という曲を歌うさい、チベットチベットと連呼。周次官は「中国の法律に違反せず、中国の人民感情に背かないことが芸術家の職業道徳だ」と強く非難した。ビョークさんは自分のウエブサイトで「独立のために戦うすべての人々、国に幸運を祈ります」との思い訴えている。
                     <3月14日8時1分配信 産経新聞記事からの引用>
                

          
そして印度側、ダラムサラ方面からの呼応。      
            

              
ニューデリー=永田和男】インド北部ヒマチャルプラデシュ州の警察当局は13日、中国のチベット政策に抗議し、北京五輪開催に反対してデモ行進を続けるチベット難民や人権活動家計約100人を逮捕した。州当局は「逮捕は中央政府の指示によるもの」としており、対中関係改善機運の維持を優先するインド政府の強い意向が働いたものと見られる。
逮捕されたのは、チベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世の亡命政府が置かれるダラムサラを10日出発した一行。13日朝、ダラムサラの南約50キロのデーラで警官隊に取り囲まれ、車両に押し込まれて連行された。警察は10日以降、再三、行進を中止するよう警告していた。
行進は、チベット独立を求める5団体が主催し、五輪期間をはさんで今後6か月間、インド各地を歩くほか、中国国境を越えてチベット自治区のラサ行きを目指すとしていた。
                     <3月13日18時46分配信 読売新聞記事からの引用>
           

                

印度に於けるデモの弾圧には、このやうな伏線も有る。
              

           
【北京=福島香織】1959年のチベット民族蜂起から丸49年を迎えた中国チベット自治区ラサでは、僧侶・尼僧らが政治犯として拘留中の僧侶の釈放などを訴えるデモなどがあり、首謀者とされる僧侶など数人が公安当局に拘束された。観光都ラサ市中心での衆人環視の中、神聖なる僧侶へ公然と暴力が振るわれ、地元では強い緊張が走っている。
米短波放送・自由アジア放送などによれば、10日、ジョカン寺近くの土産物街バルコで僧侶や尼僧を含む10人あまりのチベット族チベットの旗をふり、ビラを配りながら抗議活動を行ったところ、武装警察が殴るなど暴力で抗議活動を鎮圧。聖職者への突然の暴力に、パニック状態になりバルコは一時封鎖された。またこの日、300人の僧侶が参加してデプン寺からジョカン寺までデモ行進する計画があったが、市中心10キロの地点で武装警察に鎮圧され50人以上が連行されたという。
中国外務省は11日に、デモを阻止し僧侶ら数人を拘束した事実を確認。「僧侶は一握りの民衆にそそのかされて違法行為をした」として法に従って処罰する方針を示した。国営新華社通信は、チベット当局者の話として、「デモは説得によって解散させられた」としているが、ラサ在住チベット族産経新聞に対して送ろうとしたメールはすべて届いておらず、携帯電話ショートメッセージなどで「事情はよくない」「妨害されている」などと検閲をさけるための短いローマ字文面などで緊迫した状況を訴えている。
一方、新疆独立を主張するウイグル族への圧力も強化されており、新疆ウイグル自治区ウルムチ発の旅客機ハイジャック未遂事件なども発生。五輪が近づくにつれ、国内の民族問題はむしろきな臭さを漂わせている。
                      <3月12日21時33分配信 産経新聞記事からの引用>
               

【北京・大谷麻由美】中国のチベット自治区ラサ市で今月10、11の2日間、チベット仏教の僧侶やチベット族の市民らが大規模な抗議活動を行い、武装警察によって大昭寺など寺院3カ所が封鎖された。市中心部にあるバルコル(八廓)街の数カ所では火災が発生。約70人が拘束され、僧侶も多数含まれるという。英BBC放送が14日、報じた。10日はダライ・ラマ14世が亡命するきっかけとなった1959年の中国軍によるチベット武力鎮圧から49年の記念日だった。
8月の北京五輪に向けて、チベット独立を支持する国際組織は現在、中国政府への抗議活動を活発化させている。チベットでも大規模な抗議活動が発生したことで、世界的な活動に拍車がかかりそうだ。
中国外務省は13日、ラサで「少数の僧侶が社会動乱を起こし、チベットの分離を企てた」と抗議活動が発生したことを認めたが既に鎮圧されたと述べた。
米国の人権団体の話では、抗議活動は過去20年で最大規模。10日は約300人、11日は約600人の僧侶らが抗議活動を行ったところ、武装警察は催涙弾を発射した。僧侶らは絶食で抗議活動を始めたという情報もある。
                      <3月14日20時29分配信 毎日新聞記事からの引用>
              

                  
そして今天の拉薩・・・西藏暴動、CNN:上千喇嘛暴動 縱火燒車2008-03-14 19:56 最新消息,根據美國有線電視網CNN的報導,西藏首府拉薩,今天發生暴動,上千名喇嘛,當街縱火燒車、搗毀商店,還撕毀大陸五星旗,並和大陸公安發生衝突:現場槍聲大作,英國媒體報導,大陸方面已派軍隊進入包圍封鎖,自由亞洲電台表示,大陸方面已展開鎮壓行動。根據CNN的報導,因為拉薩暴動現場,已經被公安包圍管制,國外媒體完全無法進入,雖然現場槍聲不斷,但是還沒有消息證實有人傷亡,這場由喇嘛與學生發動的抗議活動,以獨立為訴求已經進入第5天。
不過,喇嘛與公安的對峙相當火爆,在今天釀成流血衝突,目前上千名喇嘛的安全狀況,仍不明朗;美國當局已經對國民發出警告,要求美國僑民儘快撤出拉薩。             
          

               


【北京14日時事】新華社電によると、中国チベット自治区ラサの大通りで14日、火の手が上がり、複数の負傷者が出て病院に運ばれた。在北京米大使館は、同地で銃声が聞こえたとしている。ラサでは10日から数百人のチベット仏教僧らが中国によるチベット支配に抗議してデモを実施。これに対して中国軍部隊は、僧侶のいる寺院を封鎖したと人権団体は発表しており、緊張が高まっている。
 新華社電が目撃者の話として伝えたところによると、同日午後2時(日本時間同3時)ごろ、ラサの2本の大通り沿いの多くの店舗が火災に遭い、煙に包まれた。中心部にある「大昭寺」前の広場では多数の人々が逃げ惑ったほか、複数の車が焼けた。暴動は出火後も続いているという。
                      <3月14日20時1分配信 時事通信記事からの引用>
                

           
拉薩で今、何が起こってゐるのか?*3
オリンピック開催を控ゑ、中国当局*4は今後殆どの情報を発信しないだらうから推測する他はないだらうが、先般ミャンマーで起こった悲劇と同じ結末を迎へないやうに祈る他はない。今や報道を介し、世界が事件の目撃者になりうるご時世なのだけど、ミャンマーでは世界の目が抑止力として作用することはなかったのだ。そして今回もまた、今後の拉薩の情勢は外国の報道機関から伝へられるのだらうな・・・
兎に角、チベットに於ける、精神的支柱を欠いた半世紀と言ふ時間の堆積は、目に見へない「何か」を崩壊させるに十分な時間であったのだ。
        
(―_―)
                

Volta

Volta

             
             
                
さて、今天は春の嵐
電光雷鳴暗雲豪雨にて現場工作は勿論中止。まさかこれほどの雨量にならうとは・・・ そんな破天候も恐れず、果敢に岬の資料館まで出土遺物洗浄工作に来てくださった愛知学院大学の大学院進学決定的愉快な三人組様御一行様に、感謝。<(_ _)>
              

今まさに激しくにこやかに修行中の愉快な仲間達(明天卒業式)
                  

*1:所謂「東トルキスタン」問題が渦巻く。

*2:青海省甘粛省四川省雲南省の一部なども伝統的な居住地域である。

*3:中国系の新聞報道では「暴動」と言ふ表現を用ひてゐる。

*4:1989年3月に拉薩で発生した大規模な暴動時、戒厳令を発令したのは当時チベット自治区書記だった胡錦濤である。