嵐が来るよ!

嵐が来るよ!

今天的天候の急激な変化はまさに劇的で、早朝まで残ってゐた陽春の空気の温もりも青空も何もかもが、黒雲と疾風によって何処かに連れ去られてしまつた。
         
「嵐が来るよ!」*1
           
誰かが西方の山の彼方を指差して呟く。先ほどまで見へてゐた今方の山の端が灰色がかった霧に霞み、南風が南西風に変はり更には西風に移り行くと、土埃と大粒の雨が渦巻く旋風。息を止め、目を細め、顔の前に手のひらを翳してゐても、いつのまにか口の中が砂でざらつき、耳の奥がこそばゆい。
そして気が付けば、いつしか風は冬の常なるが如く北西から北北西の狂風へ・・・
(-_-)
         
そんな嵐の来る前は、穏やかな空気に身を沈めつつ、検出面に無数に出現した被熱礫群の蝟集状況をしげしげと眺めてゐた。「小さい方」の半割セクション断面図を取りながら、火の焚き方を考へてゐた。
嘗て此処で調理されたものは何か? 嘗て此の火を囲んでゐた人々は、何処から来て何処へ行ってしまったのか? 集石の近辺から石鏃が出土するのは何故か? 何故土器が発見されないのか?*2
(-_-)
           
吹き荒び荒れ狂ふ風雨に負け、午後の検出を早々に切り上げて資料館へ退散。残りの時間は二次元図面に描かれた遺構配置や、様々な注記を読み解き乍ら、脳内にホロデッキの如く現場空間を再現する。
謎解きはまだまだ、始まったばかり・・・
(-_-)
           
 
         
 
           
そして遺跡周辺からはいまだにこのやうな謎の巨大石器が・・・
              
              
それにしても亡国のイージス艦事故、漁協のおこなった記者会見の分かり易さ(明快さ)に比べ、海上自衛隊側の責任者の説明(弁解)の分かり難いことといったら呆れるほど。もごもごと口ごもったり、きょろきょろと視線も落ち着かない人物で、いくら偉い人でも返って不信感は増してしまつたやうだ。
船団を組んでゐた同僚船に搭載されたGPSが事故前後の航跡を詳細に記録してゐて、漁民達がそのモニター画面を指差し乍ら当時の状況を生々しく語るのに比べ、イージス艦には航跡を記録したGPSデータが無いだの、防衛省側は当事者である艦長さえ顔を出さず。このまま捜査案件であるとか調査中であると言って、結局最後まで当事者達は誰も出てこないのではないだらうか。
国家の危機に対応すべき戦艦の、平常時に於けるこの危機感の無さは驚くべきものがあるが、残念乍ら是が我々の国家の現状であり、我々の集合意識そのものと通底する現実なのだらうね。
危機管理の苦手なことは防衛省から政治家から会社の責任者から庶民の皆様まで共通のことらしいが*3、これまた苦手なロケット打ち上げ、超高速インターネット衛星「きずな(WINDS)」を載せたH2Aロケット14号機は無事打ち上がったやうで、よかった・・・
(–_–;)
              
        

*1:中島智氏の名作故事を想起させる情景だ。

*2:そもそも炉穴が燻製施設だとか竈であるてう説そのものに疑問を呈する者も居るし、集石炉が蒸し焼き料理の痕跡であるてう確証も殆ど無い。

*3:談合とともに我が邦の本質らしい。