春霞収冬疑心暗鬼

古代エジプト式測量法

今天的天空殊更遠方春霞、雲霞羽虫頻繁翩翻浮遊纏付、果敢振下掘削道具、忽流汗額與背中。
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朝の空気にぴりりとした棘は無かったが、現場に放置しておいたバケツには氷が張ってゐた。
昨天大まかな検出を済ませておいた集石遺構、其のところどころに石器や剥片、土器片などが見出された為それらを地点上げ。とはいっても、激光式三次元測量機が有るワケではないので、5mグリッドに50cmで間隔の水糸メッシュを張り巡らしての測量。でもね、石の1個1個を現場で描くことは諦めて、真上から撮影しておき其の画像を下絵に、室内工作でトレースを行ふことにする。
集石炉、なのだらうねコレは。集められた石は比較的小粒で、チャートが殆ど含まれないてうことは被熱に因る石爆ぜを嫌った為? 細長く派生した集石の方はチャートや丸石を含むてう点でも、集石炉とは似て非なるものだ。それではいったいコレは何か?
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一方、これらの集合体から少し離れて存在する小型集石炉を半割してみると、其の断面は擂り鉢状で、中には矢張り小粒の被熱礫が多く詰め込まれてゐる。土坑下底やプラン周囲には良好な炭化物が残ってゐて、此の場で火が焚かれたであらうことが生々しく伝はってくる。
先の円形土坑はまさに、この小型集石炉を巨大化させたものであり、ほぼ同規模のものが更に1基発見された。新たに発見された円形土坑と集石炉で特筆すべきは、礫が部分的に可成り盛り上げられた部分を有すること。もし蒸し焼き石焼き炉としての機能を想定するならば、礫は土坑に平に敷き置いた方が実用的であるとも思はれるが、どのやうな用途を想像すればこのやうな被熱礫の盛り上がりを理解することができるのだらうか。
とまれ、規模の大小はあれ、円形集石土坑は殆ど遺物を含まず、なかなか時代を決定することが出来ないのが難点だ。幸ひ炭化物は含みますが故、年代実測すれば時期を特定できさうですが。
それと勿論、全ての遺構は時間幅も含めた最終形態であるはずなので、出土検出状況が直ちに利用状況を表したものではないワケで、あらゆる可能性を排除せずに考察することが肝要だらう。
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それにしても今天の陽気、さすがにツルハシ振り回すと忽ちの大汗にて、午後からはTシャツ1枚になっての工作活動。お陰で心地よい汗かくことが出来ました。しかし、夕方前からは薄雲が積み込んできて、風向きが完全に南から南東寄りに変化して、気圧も次第に低下。聞けば明天はまた冬型に逆戻り、恐ろしく寒くなるとのこと。覚悟すべし。
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此の場合、大は小を兼ねてゐないやうだ(小:r=70cm、大:r=150cm)
                
             
帰宅すると言叢社から書籍届いてゐた。
『光の神話考古学 - ネリー・ナウマン記念論集 - 』山麓考古同好会・縄文造形研究会編
帯に曰く「日本神話と先史図像の解釈に大きな示唆を与えたネリー・ナウマンの仕事を受け継ぎ、数百点におよぶ日本縄文、環太平洋、ユーラシアの造形図像を紹介しつつ、人類原初の造形表象と神話表象の解明をめざした記念論集」とぞ。
日本列島の古層を鳥瞰式に覗き込むナウマン女史の著作はどれも濃厚な示唆と鋭い洞察に満ちてゐて、存在そのものが刺激的だ。内容はナウマン女史の講演論文二本を筆頭に、小林公明氏、樋口誠司氏、カール・シュスター氏、カール・ヘンツェ氏、高良留美子氏、坂田千鶴子氏、島亨氏ら超級濃厚な執筆布陣。先年井戸尻方面より頂戴した『山麓考古20号 - 武藤雄六さん喜寿記念号 -』もまんだ読破途上にて、本書も同時平行宇宙式にじゅうじゅう用心して粛々と読み続けるべし。解読と理解は其の先のこと・・・
m(_ _)m 感謝多謝
              

生の緒―縄文時代の物質・精神文化

生の緒―縄文時代の物質・精神文化

          
ちなみに、冒頭句は中国語に非ずむば推して知るべき模擬的形容句也。
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