雁合式逆襲2

炉穴第2号は断崖の脇に有り

物干し竿がプラスチックでもアルミニウムでもステンレスでもなくまだ竹竿だった頃(といっても我が家では今でも切ってきた竹そのものだが)、竹の節に洗濯物や布団が引っかかるのを防ぐ為、ビニルのやうなセルロイドのやうな、ポリプロピレンのやうなプラスチックのやうな色の付いた竿竹カバーが売られてゐた。(あれ、なんてう名前でしたっけ?)
カバーといっても被せてそのまま使ふワケではなく、長いカバーに竹を通したあと全体に湯をかけて縮ませることによってぴったりと表面に張り付いて皮膜にするのだ。勿論、仕上げに熱い湯を使ふので取り扱ひは大人達の仕事だったが、ぶかぶかっとした水色のカバーがお湯をかけていくだけでしゅるしゅると縮み、竹の表面にぴったりと張り付いていく様子が手品のやうで面白くて、今でもはっきり覚ゑてゐるが我輩にとってみれば昭和の一風景だ。
昭和がブーム、と言ふのも妙なことだが、ひとくちに昭和といっても其のカテゴリーや時期区分にはイロイロあって、例へば「先の大戦」は巨大なメルクマールだらうし、戦後世代にしてもTVが白黒だったかだうか、自家用車(オート三輪?)の有無だの何だの、特定の機械や品物とどのやうに関係してゐたのかてうことは同世代間の重要な話題でもあり、微妙な年齢差や地域差を探査する手懸かりになるのだ。
例へば我輩の場合はこれら、ハエトリ棒、タコの吸ひ出し、浅井膏薬、ロゼッタ(ロゼット)洗顔パスタ、ウテナお子様クリーム、オリエンタルマースカレー(チャツネ付き)、オロナイン軟膏(浪花千栄子)、細うで繁盛記(新珠三千代)などなど・・・見たこと有る、使ったこと有る、そしてそれらのことをどれほど実体験として語ることが出来るか、てうこと。
(-_-)?
           
今天の雁合遺跡、表土掘削の凹凸を除去しつつ、平面的な遺構検出の為の清掃を開始。畑地の撹乱土からもいくつか石器が出土するし、検出面からもいくつも。上下二区画それぞれに焼土や被熱による赤色硬化面が何カ所か確認され、既に切り取られた法面に向かって伸びる炉穴の焚き口を確認。一気に完掘は難しいため、取り敢へず焚き口側を長軸に沿って半割し、平面図と断面図を測量しておく。構造は先の炉穴と同様で、焚き口から傾斜して下がっていくタイプ。天井部分は落ちてしまってゐる可能性が高いが、全容の探求は来週の課題。
それとは別に、赤化面を追ひかけていくと期せずして須恵器の破片が出土。加へて、近くから土師器のやうな脆い土器が何片か出土することから、其の周辺を集中的に検出すると、古代の住居址が出現。予想外の時代の遺構で驚いたが、住居址は辛ふじて床面が残ってゐたに過ぎず、そんな竪穴の掘られた地層は縄文早期またはそれ以前の遺物包含層だったワケで。
兎に角、本格的な検出と掘削は来週から。それにしても、今天も風花舞ふ寒い日なれど、光には春の力有り。
              
 
             
 
                
             
今天是西行
(-_-)南無