雁合式暫定的終了

調査の極北

昨夜からの強風はまさに暴風の域で、地上のあらゆるものを吹き飛ばすべく終日吹き荒れ狂ひたりける。
その勢ひは山も靡けと、勿論陋屋は大いに靡き軋み、隙間風も障子が外れるほど強く吹き込み、此処は屋外かとしばしば怪しむほど。心頭滅却しても火は熱いが、心神耗弱しても寒いものは寒いのである。
(―_―)
          
斯くの如き環境下、果敢に屋外工作へ。水溜まりの氷厚く、遺構の壁面にも大いに霜立つ也。
重機の動向や工事の進行状況を睨みつつ、最後の足掻き。掘り残した検出面を隅々まで、グリッドに分かれて皆で掘削。遺構は全て完掘してあるので、其の隙間を狙ふことになる。
当たり前のことだが、縄文時代であらうが中世であらうが、この地球上に真っ平らな地表など殆ど存在しないワケで、人間が人為的に構築した住居の床のやうな局地的な現象を除き、集落内にも存在しなかっただらう。そんな地面を、「検出」と称しさまざまな金属器を用ひて平に削ってゆく。其の架空の平面にもやもやっと浮かぶのは、住居址かも知れないし土坑かもしれないし、単なる水溜まりの窪みだったり樹木の根っこの痕跡だったりイロイロだらう。人為的な遺構かそれ以外のものなのかはその時々に各調査員が判断する以外に無いが、その判断には調査員の経験に基づく知識や勘、または五感や第六感、つまり生体能力そのものが関与してくるとすれば、なかなか厄介で奥深い。
人為の有無を判断することが如何に難しいかは、石器の場合でも同じ。ただの丸石を磨石と判断する者も居れば、荒々しく豪快に作られた礫器を自然の産物と無視する者も居る。細部に拘れば大局に盲目となるだらうし、鳥瞰ばかりでは繊細な地表のほんの一皮に凝縮された遺跡の本質を見損ねることとなる。
(–_–;)うむ
            
予想通り、遺構外の地中からも剥片ばかりか石槍などの製品も何気なく出土するワケで、恐るべきコトだ。幸ひ、強風が暴風となり狂風と化した午後三時頃までに、そんな遺物包含層もほぼ掘削完了でき、工事再開時限ぎりぎりの終了。作業員の皆様、今天はホントにお疲れ様々で御座ゐましたね。
それと、先日の彩雲の御陰様か、地続きの隣接地にも最低限の調査が出来さうな気配が生まれつつあり、コトの機運こそ其の方向に靡けよと、ただただ祈るばかりなりけり。
(-_-)
              
 
              
 
              

              
(ー∧ー)チョンマル ピゴナムニダヨ!
今宵のBGMはこちら・・・

  

鏗鏘玖瑰 (台湾盤)

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