雁合式追尾

炉穴天井部分の断面!

正月三日目、明けて快晴。
ヴォストーク(東方)に走り抜けた沿岸低気圧は二つ玉のせいか冬型に至らず、どことなく南洋の空気を引きずって来たやうだ。
雪のち晴れの溢れる陽光に誘はれて、庭の三椏が外側から咲き始める。八重咲きの水仙は既に満開を過ぎて、今は黄色水仙の盛り。喇叭水仙も遅れて芽吹き、山にはマンサク咲き揃ひ、光の春を彩る黄色の花々の世界。軒先の瓦の隙間に、二匹の雀がしきりに巣の材料を運び込んでゐて、子育ての準備中。
連日の肉体労働でさすがに疲れが溜まり、今天は午後から出動。勿論連休で皆様お休みのところ、国道を行き交ふ行楽客と思しき乗用車やバイクも多く、皆さんどちらへお出掛けでせうか? 
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さて、炉穴の続き。あの大雪のせいで、半割した炉穴天井部分の残りも一部が落ち、いちばん天井に接してゐた大きめの石も落ちてしまつてゐたが、積み石の効果で形状は辛ふじて保たれてゐた。現場を全て覆ってゐたであらう雪も全て溶け、遺構の底や方々に水溜まり。勿論粘土質の地表はぬるぬるで滑りやすいが、乾ききって硬くなってゐた部分は水分の浸透で柔らかくなっており、手ガリでの掘削は容易になってゐた。
円形土坑と炉穴の切り合ひ部分、焚き口の右袖に小さなピットが発見されたが、やはり正確な切り合ひ関係は不明のまま。しかし、炉穴より前に円形土坑が営まれてゐたとすれば、確かに炉穴の掘削は多少容易になるであらうが、焚き口部分の長さがかなり短くなってしまふ。それに、円形土坑にぎっしり詰まったままの被熱礫の解釈が難しくなる。となると、炉穴の焚き口から前庭部を切るやうに円形土坑が掘削されたと考へる方が道理であるが、円形土坑の使用方法は謎のままである。も少し現場で考へてみやう。全ては現場にしか存在しないのだから・・・
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夕刻前に工作を切り上げ、帰宅途中に以前から気になってゐるポイントへ。
其処は農業用の溜め池の岸辺で、僅かに残された雑木林の中に数基の古窯が残ってゐる。1基は5年ほど前ほぼ完掘し、埋め戻してあるのだが、隣接して存在する他の古窯はその前庭部が溜め池の湖岸にかかり浸食されて、池の周囲には無数の山茶碗や焼台などが散乱してゐる。そんな中世遺物に混ざり、当時大きめの礫器や石棒状の石を採集してゐたのだ。
記憶を頼りに、西日の差し込む幻想的な雑木林を進むと、調査した古窯周辺に張り巡らした立ち入り禁止のロープが残ってゐた。そこからすぐ池の岸辺へ。季節柄今はすっかり水が少なくなってゐて、池の周囲を安心して歩くことができた。予想通り、窯壁の破片や茶碗の欠片に混ざって石錘を発見。更に、気になる円礫やチャートをいくつか・・・ ひょっとしてこれは石核では?
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