雁合式終盤

炉穴を断ち割りたりける!

天候の行方を気にし乍ら、粛々と発掘作業を開始。風こそ無けれども、とにかく冷たく、とにかく寒い。
工作現場そのものはあと数日間、重機の蹂躙からは逃れられるやうだったが、途中何度か工事関係者が何度か作業の様子を覗きに来たりして、縄文早期以前に同期させた時空感覚を安定して保つことが難しい。皆での作業は一応今天が最終日てうことで・・・
(-_-)
         
さて、遺構検出面の方々に細かく観察しておきたい部分が存在することや、細かな図面の修正など、まだまだ現場でやらなければならないことは幾つもある。幸ひ豊橋方面からISKW氏やKBT氏、更に昨天に続きNKGM君らのボランティア参加も得、同時に作業が進められて誠に有り難きこと。
そんなうちにも豊川方面H氏や名古屋方面からITO-sanなど次々に見学者訪れて、ホントは各種遺構や出土遺物に関する御教示ゆっくり受けたいのもやまやまなれども、少しでも掘削を進めておきたい状況との葛藤もあり、ご挨拶程度で御無礼仕りました。<(_ _)>
           
そんな見学者の方々もお昼前には帰られまして、さて懸案の炉穴の断ち割りをばせむと赤化面に楔を打ち込んだとたんに小雨降り始めまして、八千年間崩落せずに残った天井部分の半分を打ち割って取り上げ。現状のまま残したいのは当然のことなれど、我々がやらねば数日後に重機が瞬時に削平して仕舞ふ悲しき定めの遺構であれば、敢へて我々の手に因って最大限の情報を引き出しつつ破壊して行く、それが道理か詭弁か普通のことなのか異常なことなのか免罪符に過ぎないのかだうかはわからんが、兎に角粛々と詳細を調べて行く。それが、八千年もの眠りを覚ましてしまつた者に課された義務であり、同時に罰であるのだらう。
こんな奇妙な罪悪感や消へゆくものへの憐憫の情が天に到達したのか、小雨はいつしか霙混じりに。皆それぞれの持ち場で最大限粘ったが、さまざまな作業にも支障を来すほどの降り方となり、昼過ぎにやむなく現場工作は中止。道具類を片付ける間もなく、遺構にシートをかける時間もなく、足下どろどろの全身ずぶ濡れでも猶、後ろ髪引かれ乍ら(現在長髪にしてるもので)現場をあとにする偉人であった。
ところで熱残留磁気測定をおこなふ時間と予算の余裕は有るや無しや?!
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着替へも持たぬこともあり、午後の室内工作は遠慮して一路西へ。家路を急ぎ走り行くにつれて周囲は雪景色となり、ワイパーを高速にしても視界が確保できぬほど。気温も余程低いのだらう、ヒーターを強にしても車内の硝子が曇り、しきりにセム皮で拭き取る始末。
対向車線を走る車の様子を見てゐると、だうやら半島の先端ほど早く雪が降り始めてゐたやうだ。其ノ後、日暮れまで降り続けた雪は我がパナリガーデン一面に10cmにも達したが、暗くなって雨に変はるとみるみるシャーベット状となり、午後9時には夜空に満天の星。地上は雪明かり。
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