曇天雁行

早期の打製石斧で御座ゐます

今天的天気曇天ニシテ吹ク風冷タク、陽光欲シ。
結局、焼土や炭化物、被熱礫が集められた土坑は不定型な掘り込みとして完掘された。埋土からは相変はらず、石鏃や剥片石器、打製石斧や磨石、ぼろぼろになった土器片などが被熱した礫に混ざって出土する。礫の密度は先日の円形土坑にははるかに及ばず低いが、チャートの占める割合が多いのも相違点だ。底面には大きめの礫が配置され、不自然な地山の高まりも見られるため、少なくとも或る時期は露天の炉として使はれてゐた可能性が高い。底面近くの炭化物は、年代測定用に採取。
この土坑周辺には、薄く炭化物が広がる部分が存在することなどから、先日の炉穴の如きトンネル遺構が存在するのではないかと慎重に検出を進めてみたが、しっかりしたプランの遺構は存在しないやうだ。
一方、旧石器時代末期の遺物を含む地山面には、不整形乍ら2m四方の土坑が2カ所存在するが、プラン範囲に集中して剥片や礫、希に土器片が出土することもあって、小型の住居址の可能性はないか? しかし、この遺構の土色の違ひは実に微妙なもので、座して掘削してゐても地山との相違が誠にわかりにくい。頻繁に立って数歩下がって土色の確認を要するのだが、このやうな曇天ではいささか光量不足。よって確実な部分のみの掘削となる。
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午後からは風も止んで、大気中に何となく湿度が充満しつつある様子。気温低く湿度が高まると、風有る時とはまた違った寒さがある。今夜は雨から雪への予報にて、ブルーシートでしっかり養生して終了。強風地帯なので、シート押さえの土嚢が矢鱈仰山必要なのですよ、このあたりの現場では・・・
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