寒中的再挑戦

いろいろな遺構が・・・

縁あって、此の寒空の下、謎の遺構群に再度挑戦。
眼下指呼の距離に旧石器時代末から縄文時代草創期にかけての大遺跡である宮西遺跡を望む段丘上、幾つもの謎の土坑が点在する。其の直径約1.5mから2mで、断面形状はかなり急な角度で立ち上がる擂り鉢状。中心部の深さは60cm以上で、平面形状はほぼ円形だが、一カ所に浅い掘り込みが円形から突き出したやうに、尻尾のやうに付属する。中に大量の被熱礫を含み、部分的に地山も強烈に被熱してゐる。
埋土中の礫はその殆どが砂岩や緑色片岩で、此の周辺にいくらでもあるはずのチャートは見当たらない。礫の形状は様々で、拳大のものが多く、中には恰も打製石斧や磨石、石皿の残欠のやうなものもみられるが、被熱と水分の含浸による風化が著しく、極めて脆い。人工遺物と確認できるものは包含されてゐないのだが、希に石器剥片がみられる。
土坑に充填された埋土の周縁には多くの木炭が含まれてゐて、土坑の側壁は部分的に古窯の壁部のやうに焼けており、強烈な被熱に因って珪質成分が気泡化したやうな部分も存在する。
遺構の存在する地形は北に向かった緩斜面だが、幾つかの被熱礫土坑の間隙には地面が直接被熱した小規模な遺構が点在し、地焼炉のやうな様相である。これらの遺構群の検出面からは、有舌尖頭器の欠損したものや無数の剥片石器、石鏃やごく小量の土器片が出土するが、土器片は縄文時代早期に所属する可能性が高い。
それにしても此の土坑、これほど大量の礫や壁面を被熱させるためには、露天のまま火をかけてゐては到底不可能なこと。かといって、古窯の如き天井の存在や、連結土坑の如きトンネル状の痕跡がみられるワケでもなく、熱した礫を使った蒸し焼き炉にしては遺構の深さが尋常ではない。土坑自体は形状も法量も決して類例のないものではないが、貯蔵穴や落とし穴である可能性は低さうだ。
ほぼ完掘したものの、突出部分や実測は明天に持ち越しまして候。
これでは2007,12/18の "R for Vendetta" にはなっておりませんね。
(–_–;)
         
それにしても今天の暴風。もはや「木枯らし」てうコトバでさへ、生温い。
吹きっ曝しの工作現場では道具ばかりか人間様も何もかも、恐ろしいほどの北西風に吹き飛ばされて行く。おまけに大変な寒さ冷たさ。手先足先悴み、忽ち鼻びしびしとなりにけるとは雖も、ぶむぶむとツルハシなど振り回して掘削に専念すれば、多少は汗ばみ暖まるのでありますが、動きを止めますと直ちに冷凍されますので御注意下さいませ。<(_ _)>
                



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