洞窟踏査

異次元空間への扉穴

中央構造線の東端部分、フォッサマグナにもほど近い山地の方々は、かなり大規模な石灰岩岩帯であって、其処此処に石灰岩洞穴が存在する。
周囲に見る、なだらかな曲線を描く稜線や優美な山塊頂部の有様は、地表下が石灰岩の岩盤であることを知らせてゐる。今は木々に覆われた、其の山懐のいたるところに岩陰や洞窟が存在するのだ。中でも史跡に指定された嵩山の蛇穴は有名で、奥行きも深く、過去に発掘調査も行はれてゐる。早期の押型文土器が出土してゐることなどから、少なくとも六千年以上の昔から人間様が住居(のやうなもの)として利用してゐたことがわかるのだ。
でもね、他の洞窟ですがね、いくら開口部への近道だとしてもだよ、も少し険しくない道を通るべきですよ、先達さん! NGSWさん!
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洞窟の多くは胎内潜り。大地の高まりの、其の姥ヶ懐に潜り込む心地よさと不気味さは常に相俟って、此の世とあの世の境界域の如き不可思議な感覚、例へばそれは我が身が現世に存在することへの違和感であったり、同時に我が肉体が洞窟の暗闇の奥深くに吸引されてしまふのではないかてう恐怖感であったり、はたまた畏怖の念、時には心地よさや安心感などが突き混じった複雑な観念が湧出する空間だ。
そんな神秘に満ちた異空間であっても、いったん内部に取り込まれてしまへば、今度は下界外界こそ畏怖すべき空間領域に変貌してしまって、異次元空間にぽっかりと空いた大きな丸窓から見る緑溢れる森の片鱗は、それはまたそれで新鮮な驚きと安らぎをもたらしてくれるものだ。
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奇しくも鄙びた無住の古刹で執り行われた法事の最中に、読経聴き乍ら駐車場の地べたに座り込んでのお弁当。お互ひに不審怪訝な表情で見合ふもまたをかし。ホントにチベットでの日々を思ひ出しました。
でもね(その2)、高価な機器、特にGPSだのケータイだのデジカメだのは、じゃらじゃらと腰回りにぶら下げずに、リュックだのウエストポーチなどにしっかり入れて持ち歩きませうよ、セニョール・ムーチョ!
           
 
先づ、先生共々穴の空くほど遺物を見つめ、そして颯爽と洞窟に向かふ怪しき集団
        
 
洞窟内で発見された新種の即身仏と、無住寺で執り行われた一族郎党大集合しての大法事と大遭遇哉