秋の日の

薫り高き石蕗の花

広大な陋屋の敷地を周回巡検中、ふと何の香りかしらむと、乱雑に切り落とされた樹木の枝や茂った下草を掻き分けて覗き見れば、果たしてそれは石蕗の花の香り。
さうか、この頃は伽羅蕗も作ってゐないし、此の花との親しみも日常薄れつつあるなと思ひ、手折りて食卓の一隅に飾りてみれば、秋色はより際だちて、焙烙で煎ってゐた銀杏の殻の焦げた香りと相俟って、そこはかとなく秋の食欲をそそる。さういへば今年は、いつも柿の木に巻き付いて共生するカラスウリの姿も見へず、肝心な柿の実もヘタキリムシの暗躍で殆ど落下してしまひ、常らしからぬ情景となってゐる。秋の豊饒は厳しい冬への蓄へを促すために必要欠くべからざることだが、その為には冷夏でも酷暑でも困るワケで、四季は連綿として有機的に循環してゐるのだ、などと当たり前のことを今更。人間様の自然循環は極めて不自然なものに変容して仕舞ったけれど、大観すればこれもまた地球上の新たな状況の一部であることに違ひ無い。此の新たな状況の厄介なところは、良質にせよ悪質にせよ循環を余儀なくされるはずの此の天体上の摂理をも無視してしまってゐることで、水は流れてなんぼのはずなのだが、困ったことに何処かで突然途絶ゑたり溢れたり、過多乱れて体内にまで深く影響を及ぼしはじめてゐる。
(―_―)
           

ぷりふにゃっとした翡翠色の実、独特の食感。でも、銀杏食べ過ぎると馬鹿になるって、ホントでせうか?
           
             
夕方より雨のにおい。
まだこのあたりでは、常なる潮の香りや樹木などの草いきれ、そして地上に咲く花々や土の香りを実感することができる。これもまた、貴重なることかも。
        
今天、Guy Fawkes' Day in ENGLAND