ねむれ巴里

シックなデザイン

巴里最後の夜は何にしやうかとあれこれ迷った挙げ句(迷ふほど多彩なメニューがあるだけ素晴らしいし、幸せだな)、未体験のオペラ・バスティーユでのコンサートに決定。
ジョルジュ・プレートル指揮、国立オペラ劇場オーケストラで、シューベルト交響曲第2番)とマーラー交響曲(第1番)プログラム。「オペラ座」てう括りで、此処ではオペラガルニエのチケットも購入する事ができるし、年間プログラムの情報やチケットの購入方法も簡単明瞭で頗るよろしい。勿論チケットは一番安いカテゴリーの一つ上で、伝統的劇場で言ふ天井桟敷に相当する座席の7ユーロ。更に安い5ユーロの席もあるが、こちらは柱の陰やバルコンの関係でステージが見えない席だったので、初めての侵入てうこともあってせめてステージの見える席にしやうと思った次第。
コンサートの内容たるや、それはそれは余りにも素晴らしく・・・ 流石プレートル、その流麗且つ洒脱な指揮スタイルにすっかり魅了されて仕舞った。
巴里の街はすかっり秋色充実で、街路樹の落ち葉も今は盛りと、大量に路上に降り積もる。街行く人々はマフラーや毛糸の帽子が当たり前になってきたし、厚手のコートはまだ不要だけどジャケットなしではちょっと寒い事多い天気。今はまだ晴天続きだけど、じきにこれが曇天から時折時雨模様の灰色の冬の日々がやってくるのだ。陰鬱で憂鬱な冬を乗り切るため、快楽主義者であるフランス人が考へ出したのが、映画演劇展覧会など全てを包括した室内芸術的快楽なのだ。だからオペラもコンサートも各種展覧会も本番はこれからなのだ。
          
  
エスプリも何も感じさせないオペラ・バスティーユの外観。カナダ人の建築家らしいが、巴里にしてはまったく面白くない建築物の筆頭。但し内装設計は音響、デザイン共に合格。
                         

        
          
                                
快楽に耽溺し、眠れ眠れ、ねむれ巴里!
                     
                            
                            
ねむれ巴里 (中公文庫)