或る工作の区切りに立ち会ふのこと

惜しむヒマ無き重機かな

若者達による発掘実習工作活動も今天が最後。
いつもは指導者であるヴァイスシュタイン博士の邪魔にならぬやうに、出来るだけ午後の後半に顔を出すやうに心がけてゐたのだが、今天の現場工作は午前中のみであって許された時間も少なく、午後は大掘削された研究の渠の埋め戻しと後片付けをせねばならぬとあって、朝からの参加である。
調査区内における湧水はまったくたいしたことは無いが、多少深掘りされた区画の一部には地下水が見られる。大いなる柄杓でその水をコンテナに汲み、掘削によって排出された大量の砂礫砂利を遺物カゴに小分けし、ひたすら洗ふ。幸ひにして現地の土壌は粗砂が大半であり、砂利を水に沈めてほんの少しゆっさゆっさと揺すっただけで砂は落ち、4ミリメッシュのプラカゴには大小様々な礫に混ざって、お目当ての剥片や石器片、時には土器片までもが抽出される・・・・のだ。
地底の調査区では発見できなかったこれらの遺物も、取りこぼしを免れて遺物として認識され、拾得される。此の種の工作活動を初めて経験する学生諸君にしてみれば、このやうな些細なことでさへ驚きであり、喜びであるのだ。でもな、よく考へ給へよ。
掘り上げた砂利を洗ってはじめて見つかる、小さな小さな剥片などは致し方ないけれども、中には3センチも4センチもあるやうな大きな剥片や石器片が見逃されてることは、ちょっといけないことなのだよ。だからね、もっと慎重に丁寧に、遺物包含層である砂利層を掘削せねばならないのだよ、などと偉そーに・・・
(−_−)あんた何様?!
            
午後からは重機が登場し、容赦なくあれよあれよと調査区を埋め戻し展圧してしまったのだが、ともすれば小石一粒づつを眺め乍ら掘り下げていった当事者諸君が思はず口にした「なんか悲し〜い」の一言に、偉人も偉人なりに感興を覚ゑた次第。
(−_−)年も年だしね・・・我輩は我輩なりに、彼らは彼らなりに
                   
泥と埃と汗にまみれ、容赦なく照り付ける真夏の陽光の下で10日間以上、無数の遺物出土地点を記録しつつ、ツルハシでも跳ね返されるやうな固い土層を掘り抜き、貴重な堆積情報を得る為に壁面を清掃し、発見の喜びと其処に至るまでの辛さや苦しさも何もかも体験した若者達は、それぞれの思ひ出を持ち帰って行った。
此処は素直に「お疲れ様でした」と言はう。でもね、持ち帰った情報群を粛々と整理して、報告書に纏めるまでが一連の流れであって、発掘担当者の義務であることをお忘れ無く。
(−_−)
          
ところでハイビスカスの和名はなんで仏生花なのでせうか?
それと、香港的ジャズラーメン店主様からのコメント書き込み、驚きました。(8/1参照)<(_ _)>