高雄着

高雄港の夜明け

夜明け前、目覚める。
船は台湾島の東側から南下し、南端を大きく西に回り込んで高雄を目指す。既に大いに減速し、ゆらりゆらりと、恰も漂流船の如くたゆたふ。遠くに旗津半島や、85大楼の姿見ゆ。
時間が1時間おかしくなって、午前6時には高雄港へ入港。恐らく日本時代の灯台や、軍の施設、そしてあれは大学?
仰山の大廈や港のクレーン群。相当大きな港であって、旗津半島のお陰で大洋の波濤が遮られ、それでゐて巨大船舶も停泊可能な良港であることがよくわかる。
指南書とは違ふ埠頭に停泊し、此処でも直ちにクレーンが稼動。物凄い速度で巨大なコンテナが次々と下ろされて行くが、日本の港のやうなきびきびした動きは無い。
午前7時、入国審査。何となくやる気の無い粗野な感じの担当者で、我輩を睨み付け乍らビザの有無を尋ねる。出国用のチケットがあればビザ不用とのことだったが、其の有無を尋ねることさへ無く30日用の滞在許可スタンプ押された。ホントニ、其の国の入り口に鎮座する入国審査官の人柄や言動、態度のひとかけらで、其の国の第一印象は決まってしまふことは確かなこと。
下船は8時てうことで、それまでは台湾人と交渉してとりあへずの台湾ドルを両替。1ドル約4円ほど。4600円が1200ドルに変化する。札もコインも、どことなく日本の昔に見たことあるやうな姿形だが、千ドルはホログラムシールなど付けてはゐるものの、偽札多しとのこと。ご用心・・・・
さて、下船したはよいが其処はコンテナ岸壁にて、いつのまにやら漁船?寄り来て、2艘に分乗して対岸の税関まで行くとのこと。荷物多い人大変で、はうはうの体で乗り込む輩も居るが、台湾人は平然としてゐることを見ると普通のこと?
2艘ほぼ同時に出航したものの、恰も競艇の如く狂ったやうに飛ばすので、水飛沫がかかりまくり。特に甲板を占領して得意になってゐた西洋人は忽ちずぶ濡れで、なかなか手荒き上陸儀式と相成りまして候。
税関では西洋人はなぜかしっかり荷物を調べられてゐたが、我輩は偉人なのでチェック無し。斯く有るべし?!
兎に角、なかなかワケモわからぬうちに一人で町に歩き出て、近くのコンビニ(ファミリーマート=全家便利店)でペットボトルのお茶(勿論無糖!)25元購入しバス停へ。数分でバス来て、12元のところ小銭無く15元払って乗車し、火車站までは20分ほど。駅前で予定してゐた建華大飯店すぐに発見し、1泊800元のシングル=単人房にチェックイン。両替は近くの商務銀行で、三万円が7836元に変化し、台湾人のレートとほとんど違はず、天晴れ。
一段落したあとでふらりと街へ。旧高雄駅=願景館は綺麗に修復保存され、展示館として公開中。三鳳宮、歴史博物館(旧高雄市庁舎)、そして愛河周辺を浮遊。目指す牛乳大王は何処へ行った?
いたるところに日本時代の名残り、残滓、残欠。そして若者が群がる先には日本の漫画、映画、ゲームなどなど。なかなか複雑な心境にしてくださるものだ。
近くの網巴ことインターネットカフェことゲームセンターは、どの機種もなぜか日本語入力出来ず、諦めてメールは見るだけ。なんで?(飲み物注文した人は1時間10元)
夜は六合路あたりの夜市を巡り、愛玉木瓜牛乳など啜る。
ヤクルト10元也。