自明

彼岸の風景

南海洋から押し寄せる瘴気が大気中に沈殿し、徐々に蓄積されていく・・・
今年の梅雨は気紛れで、今朝も早くから土砂降りの大雨。庭の方々に置いたコンテナに発生した虷虫も流れ出す勢ひで、寝ぼけ眼で昨夜から干してゐた洗濯物など、急ぎ慌て取り込んで、そして再び夢の中へ。
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次に目覚める頃には、明け方の雨の気配の微塵も無く、ぎらぎらと陽光照りつけて夏の暑さ。
盛大に切り倒した月桂樹や柿の木を筆頭に、庭の方を透かしてみると何やらもやもやと水蒸気が上がってゐる。是こそ植物の醸し出す瘴気そのものであり、恰も此の世は植物のために存在するが如き威勢にたじろぐ。
植物の繁茂は恐ろしい。これは我が邦の地味の強さが目に見える形で現出した一端なのだらうが、タ・プローム寺院の例を引くまでもなく植物の生命力は此の世のありとあらゆる物を浸食して行く。しかし同時に、植物は此の地上のありとあらゆる生命維持に貢献してゐることも確かなのだから、或る意味地球は植物に支配された惑星であるとも言へる。
ヒトを癒すものの多くは、矢張り植物だ。花や緑を見て癒される以外に、例へば酒も珈琲も茶も煙草も香も、甘味の殆ども植物に由来する。食料としての動物の多くが、其の食料を植物に頼ってゐることを考へると、全ての連鎖は植物に帰結する。
それでは、ヒトの思想の連鎖も植物的であるのかだうか、そこらへんはよく解らない。
瘴気に犯された脳髄では、いろいろなことがよく解らないのだらう。
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体内にまで蓄積した瘴気を洗ひ流す為、遅くに思ひ立って再び巨大銭湯へ。
あわわあわわと、誰かが薬湯にシャンプーか石鹸を投入してしまったやうで、三助たちが慌てふためき急ぎ湯を抜き大掃除。物見湯山の客たちで人の流れがいつもと違ひ、我輩の長髪も何故か今夜は洗髪料でも纏まらず、湯船から出る頃にはすっかり原始人の風貌に。脱衣所では波乗り帰りの男たち、うち二人は肩胛骨まで隠れるほどの長髪で、さぞかし洗髪も大変だらうねお互ひさま。
                    
                     
今夜のBGMはこちら↓
               
オイレンブルクスコア エルガー エニグマ変奏曲 (変奏曲“なぞ”) 作品36 (オイレンブルク・スコア)