恢復

香港の主権が嘗ての大英帝国より中国に返還され、恢復され、早くも十年の歳月が経った。当の旧宗主国様は騒擾のまっただ中、北部空港での爆発事件で大変な様子。
あの時彼の地に居た我輩であるが、お祭り騒ぎの喧噪の彼方で粛々と進められてゐた式典の様子を、些か複雑な心境で眺めてゐたことを思ひ出す。当時、中国の過剰な干渉を恐れ、50年不変の一国二制度宣言に不審を感じた香港人朋友の何人かがカナダなどへの移民手続きを開始してゐたり、其の友人たちが中国本土を市場と見做し、様々ないかがわしき商売を目論んでゐたり、はたまた無関心を顕示する為、敢へて其の時期に海外旅行、しかも日本への旅行をする人たちの様子を見聞きしてゐたりと、今から思へば多少ならずとも過剰な混沌状況だったが、中国的には正しき反応かと。
民主化の象徴である普通選挙は未だ叶はず、それでゐて本土の激しい変化とめざましき経済発展そのものは魅力的に目に映るらしく、植民地てう青年期を経験してしまった「租界」に生きる者の複雑な心境をよく表してゐる。
あの時パーティーで未来を語り合った朋友達は、今だうしてゐるのかな・・・
(−_−）
　　　　　　　　　　　　　　　
実に久しぶりに、予定らしき予定の無い日曜日。
昨夜はいったい何時頃眠りに就いたのか、気が付いたときには既にお昼近く、庭の睡蓮もすっかり開いてゐて、近所のコビトが裏の路地を走り回る気配が耳に届く。天気は多少雲出てゐたが、しかし昨天の青空の欠片も其処此処に残ってゐて、其の恩恵を逃すまいと急ぎ洗濯を追加せり。
其ノ後はだらだらと、テレビを見るでもなくFM放送を聞くでもなく、ＣＤあれこれ大音量でかけてみたり、昨天大活躍した鋸や大剪定バサミなどを研いでみたり、布団干してみたりゴミ集め直してみたり、日曜らしき有様と言へば日曜らしい気もするが、さうではないやうでもあったりなかったり。
でも日のまんだ高いうちに、台所の竈の片隅でネズミの姿を見てしまった事は、可成り精神的にダメージを受けまして候。
(−_−）なんとかせねば・・・
　　　　　　　　　　　　

　　　　　　　　　　　　　　　
「風林火山」見ましたが、御屋形様こと亀次郎の変容は演出と相俟ってなかなか不気味に表現されてゐたで御座ゐますね。声で凄味を出して貫禄を表現するにしては、亀次郎まだまだの感有り。ここいらへんが歌舞伎と違ひ、テレビの難しい処なのかもしれませんね。それとGackt君、これまた演出過剰な大仰な本格出現にて、御本人様も大役を気負ひ過ぎて力み過ぎの演技。まうちょっと肩の力を抜いてくださいまし。
それとN響アワー、苦手なブルックナー、桂冠指揮者の尾高さんの指揮てうことでぢっくり見聞きしてみましたが、矢張りダメ。大型スクーター同様、ブルックナーの音楽にはまったく魅力を感じません。ただ、沈降感覚だの内観指向だの、音楽的傾向と対策は良く解って居りますものの、我輩の場合は単に相性が悪かっただけのことで御座ゐますので、何卒お気になさいませんやうに。<(_ _)>
　　　　　　　　　　　　　　
午前1時半、雨が降り始めました。