閑中之忙

高層増殖大厦林立

招待所を出るにあたり、こまごまとしたさまざまなものをいろいろあれこれ分類しては片付けて、箱に詰めてみたり出してみたり。
こんな時に限って、遠方より友来たり、遠方より電信来たり、電脳で予約しておいた船票の預約手続きや其の代金支払ひ、会員証の更新手続きや特殊備品類の購入、忘れてゐた原稿の校正や修正意見の提示、秋冬物衣料品の大規模洗濯や陽光に晒した乾燥、中途半端なゴミの処理と開封して冷蔵庫で保存中の食品類の調理や処理、必要最低限な各方面への連絡と自宅における樹木伐採工作員の手配、様々な機械類や電池への充電、携帯卓上神殿の浄化、長髪のお手入れ、陰暦の確認、天気予報の調査などを同時に行ふ。
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それにしても、気温30度にも達する平日の午後は、大ビルヂング前の地上より人々の多くは地下街を浮遊せり。足早の者が主流であって、我輩の如く被写体を求めて漫然超然と慢行する者は古来希也。さすがに正面切って人民のかむばせを写すことは倦んじてせず、物理的に物言はぬ建築物などしきりに撮る也。
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そんな或る日の夏への扉、梅雨の晴れ間の一日の、なんくるなき夕暮れ時に、額に汗して天を睨むのこと・・・
           
夏への扉 [英語版ルビ訳付] 講談社ルビー・ブックス