自強の本懐

如庵縁側

遠く、近く、電光と雷鳴。気紛れな雨が激しく硝子を叩く。
不安定な天気が続き、路上の至る所にある水溜まりも、乾ききる気配は無い。それでゐて、雲間から照りつける陽光は既に真夏の力強さ。
(−_−)
               
此の土曜のお昼前に放送される「新日本紀行ふたたび」てう番組が好きで、可能な限り見ることにしてゐる。何と言っても富田勳のあのテーマ音楽が内耳の奥まで入り込んでゐることもあるが、「ふたたび」編曲されて歌の付けられた新しい方も素晴らしい。クレジットを見ると坂田美子とあるが、確か琵琶奏者だったはず。
音楽もさることながら、その内容も大変好感の持てるもの。昭和38年から18年間にわたって放送された此の番組は、今では昭和てう時代の重厚な民俗学的記録となってゐる。興味深い事は、「ふたたび」に因って夫々の主題の変化がトレースされ、時空や人心の変化を映像として追体験させてくれること。時に感傷的に、また或る時は淡々と、実際の映像の語る力の大きさを、自分の実体験に準へ乍ら見ることができる貴重な番組だ。