歌舞伎事典:六方|文化デジタルライブラリー

           
足折れネコの運命。
恐らく、ヒトに拾はれ育てられ、何らかの理由(交通事故か何か)で左足を折り、手当もされずに捨てられた。そしてまた、ヒトと出会ひエサや水を貰ひつつも、野良半分、飼ひ半分の生活。
ヒトにエサ貰はうが、野良としてゴミ箱を漁らうが、それはネコの宿命。たとへ野良として越冬できたとしても、明日を約束されたワケでもなく、ヒトに拾はれて余生を過ごす事がネコの幸せであるとも限らない。最後まで面倒を見切れなければ、中途半端にエサなどやって可愛がるべきではない、などともっともらしいことを言ふヒトも居るだらうが、目前に居る飢ゑたるものに刹那の情けをかけることが何故いけない事なのか。我々はそれほど冷徹な人格を常に保てるワケでもないし、かといって全ての行動の及ぼす影響を常に計算して生きてゐるワケでもない。
全ての生命との出会ひは刹那的であり、個々の宿命は袖触れ合ひつつも離れては浮きつ沈みつ、関係してゐるやうで関係無い。極言すれば、自分がさうしなくとも他の誰かがさうしただらうし、ネコを助けても助けなくても、宇宙は膨張し続けるのだ。
ネコはネコとして、ヒトはヒトとして行きて行く。ただそれだけのこと・・・
(−_−)
醒めてますか? 何?悟ったようなことを?! でも、放っておかれる現実は??
理想と綺麗事は常に必要だが隣の押し入れにでもしまっておけばよいのであって、現実として動いてゐる現象には現実的に対応して行かなければならないのだ。
               
                           
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