空の下

此処は何処?

先日の BABEL に端を発し、世界の共時性につひて思ひ巡らせる過程で、ふと気になる事があって、ヴィム・ヴェンダースの『ベルリン・天使の詩』を改めて見る。
DER HIMMEL UBER BERLIN, EIN EN FILM VON WIM WENDERS *1
            
ベルリン・天使の詩 デジタルニューマスター版 [DVD]
            
1987年の作品。89年末の壁崩壊直前の、閉塞感に満ちた暗い混沌が画面に横溢する。ここにも既に、言語による意思の不通や愛情の不在、人心の虚無が語られてゐた。
物理的な壁で囲まれた一都市に凝縮された世界。天使てう子供にしか見へない存在に因って有機的に連繋される個々の孤独。そして、堕天使の行く先は人間世界・・・
地球の意思など存在しても存在しなくてもどちらでも良いが、孤独な人間の意思が天使てう無意識によって結びつけられ、地球上を覆ひ尽くした時、目に見へない神経系として自律的に活動を開始してゐるに相違無い。
日常、自分がその径絡に組み込まれてゐるてう自覚など勿論無いが、かういふ状態こそが既にその一因子である証拠なのだらうね。
(−_−)

*1:直訳すれば、ヴィム・ヴェンダース作品「ベルリンの空の下」。仏蘭西では何故か「欲望の翼」?! ウムラウトが表示されていないのは御愛嬌ってことで・・・