君、死に給ひたりけるよ

堂々と死に給ひたりける赤玉よ!

赤玉の死。
かつて数百戸のユニットの為の貯水給水を目的として建造された赤玉。
人民の生活を睥睨し、常に威圧的に、時に神秘的に、しかし何故か親しみ深い存在感でそこに立ってゐた赤玉。
数十年の歳月を経て外装も古び疲弊し、激しく錆を浮かせ、何度も塗り重ねられた塗料も輝きを失ってしまった赤玉。
激しく照りつける太陽に歯向かひ、台風をくぐり抜け、地震にも耐ゑてきた赤玉も、此処に至り遂に其の役割を終へ、地上に降臨する時がやって来たのだ。
死せる赤玉よ、お前はいったい何を見て来たのだ。
赤玉の内部に充填されてゐた水は、いったい何処からやってきて、そして何処へ流れて行ってしまったのか。
赤玉よ、お前の死を悼む者は何処に居るのか。
そして赤玉よ、お前は何処へ行かうとしてゐるのか。
     
     
       
       
       
        
        
      
      



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