やがて来るもの

構造の力、構造の虚無

工作活動の開始。
人間に因る破壊と構築、滅びと新生、淘汰と進歩の最前線。その凄まじい光景に足を止め唖然としつつも、次の瞬間にはその真っ直中に身を置く。
蜃気楼ならずとも、砂上の楼閣ならずとも、人は飽くこと無く地上を浸蝕し続け、大地を削り海を埋め、摩天楼を築き天空をも我が物顔に侵犯する。
たったいちどの大地の身震ひで、滅び去る運命も知らず。たったいちどの大波で、流れ去る運命も知らず。人はヒトとして生き抜く為に、飽くこと無く建築し、無表情に破壊を繰り返す。そこには情も介在せず、感傷さへも今や無力だ。
「おじさんは何処へ行くのですか」と、通りすがりのコビトの問ひ。
「此処は何処か」と、心の中の呟き。
見上げた空には、遠い国へ行く飛行機一機。
吹く風を心の友と、口笛に心まぎらはし・・・
     
     

中原中也詩集 (岩波文庫)