補陀落渡海、阿呆陀羅都会

青黒く、そして艶かしくうねりたりける

今宵新月、やうやう師走の始まりたりけるよ。
          

水の底の新月

水の底の新月

     
今天は渡海。
湾口のうねりは相当のもので、天気晴朗なれど北風強く波高し。
久しぶりに友人宅に立ち寄り、銀行の理不尽だの公務員の浅ましさだの、コドモの不思議さだの新型プリンターの便利さだの、ここのパンが美味いだの自動車が調子いいだのわるいだのなんだのかんだの、積もる話のほんのひとかけらを話して黄昏時にお暇する。
実は軽バンに荷物満載して秘密移動が今天の主要な目的だったのだが、午前中はまたまたT/Cの換金で銀行様に翻弄され*1、荷物類ちょっと不十分なままの渡海と相成りにけるかも。
     
旅の理不尽―アジア悶絶編 (小学館文庫)

旅の理不尽―アジア悶絶編 (小学館文庫)

        
まぁ来週末も同様なルートを通る予定なので、今回の不備を補ふつもりではあるが、それにしても都会の渋滞。皆で押し寄せ、皆で不自由する。便利さを求めるが故の不便さ。何か一つでも欠けてしまへば、たちまち成立しない脆弱な利便性。
結局、無いものを売り歩く沙漠の商人のやうなもので、便利さも進歩もその殆どは幻想または誤解なのだ。
          
吉本隆明が語る戦後55年〈3〉共同幻想・民俗・前古代
      
さうさう、知事選挙開始とのことで、期日前投票せむと役場支所まで出向く。
小さな会議室が取って付けたやうに大仰な投票所に設へられ、受付に2名、選挙人名簿確認(電脳式)に1人、投票用紙発行機に1人、其の先には選挙監視人?が3人も鎮座し*2、我輩はまさに衆人環視、環状集落中心広場に措かれたワケだ。おまけに、この会場における期日前投票第1番だったやうで、儀式的に投票箱が空であるかだうかてうことを確認させられるのだ。
投票箱、それはジュラルミンやステンレスではなくて、古典的なトランクケースのやうな作り。片面が全て蓋になってゐて、我輩の目前で3個の錠前で封印されるワケだが、担当の小役人様に「ほれ、このやうに空、カラですよね、いいですね、よろしいですね」などと厳しく見ることを強制されしつこく念を押されるのだ。
その光景があまりにもへぼい手品ショーのやうで、我輩は思はず苦笑せざるを得ない状況であった為、担当の小役人様や監視人たちに向かって
「ホント、見事なまでにカラですねー中は。そいでもって、こりゃーまるで手品のやうな案配ですねぇ旦那さん、ねぇ!」
などと作り笑顔に引きつり愛想で申してみたが、全員からシカトされてしまいいたづらに唇を虚しう費やし、期せずして辛苦を味わってしまった次第。ヒマなんだからちょっとくらい反応してくれてもいいぢゃーないか・・・
とまれ、小役人と生臭坊主とは関らないに越したことはないことだけは、宇宙の真理のやうだ。

*1:余りにも超級唖然的内容に付き、後日改めて述べる

*2:たかが期日前投票管理にこんなにぎょうさんヒトが必要なのだらうかしらむ?