早すぎる春

ほろ苦く美味しく、春の風味

岬へ。
今天は妙にあたたかな日だったが、寒風吹きすさぶこの時期、岬一帯は菜の花真っ盛り。毎年のことだが、違和感も毎年のこと。
我輩が御幼少の砌、菜の花と言へば弥生だの卯月だのに、げんげ田の土手や畦の方々に咲き並ぶものと相場が決まってゐた。しかし幾星霜、いつのまにか葉の花の主流は極早生に入れ替はり、新暦正月過ぎにはどこもかしこも開花し始めて報道に上がる。
特に岬では、観光協会の陰謀で大々的に菜の花の開花が喧伝され、暖房の効いた暖かな茶の間でその映像だけ見てゐればそれはそれはイメージの中の春そのもの。週末にはそんな春夢人・春待人たちが次々と車で訪れるが、現実は北風が吹きすさび相当な寒さであり、人工的に作られた菜の花畑には5分と居られない。写真だけ撮ってさっさと車内へ退避せざるを得ない状況なのだ。イメージのみが先行した空虚な観光戦略も、度が過ぎると如何なものかと。
いずれにしても、見てゐて非常に違和感溢れる「不自然」な光景だ。
        
       
四季の詩 1000ピース 菜の花と大地 (北海道・美瑛) (50cm×75cm、対応パネルNo.10)
     
ところで最近のNOVAのCM、とっても好きです。*1
語学学校にしては余りにもツッコミどころ満載なので、方々のブログで叩きのめされてゐるのも確かだが、たかがCMではないか。
(CMの方はそんな世間様の評判は知って知らでか、どんどんバージョンアップしてゐる)
ことの発端は小太り赤毛のオッサンが、得体の知れないもの(ジャングルジムのおばけ?)に絡まって公園で助けを求めてゐるてう状況。通りかかったOL?はその状況や「HELP!」てうオッサンのコトバが理解出来ず、オッサンを放ったらかしにして近くのNOVAに駆け込む。さて、それから幾星霜、やうやう簡易な会話を身につけた彼女が公園に戻ってみると、驚くべきことにオッサンはまんだ絡まって倒れたままで生存しており、原始人のやうな風貌になりつつも「あぁ〜・・・」と言って悲嘆する?てうもの。
もしこれが事実に基づくものであるとすればそれこそ由々しき問題であらうが、OLの知能指数やNOVAの学習効果にまでも疑問が呈されることになってしまうだらう。*2 
こんなカフカの如く理不尽な状況は更に発展し、「クリーム塗り立て」ベンチ問題にまでも発展してしまったやうだ。どんなケーキよりもたっぷりクリームの塗られた(盛られた?)ベンチの前で、OLはにこやかでご機嫌な赤毛のオッサンと遭遇。なぜか異常に愛想の良いガイジンはイギリス風の挨拶で天気のよさを喜びつつも、クリーム塗り立てベンチにわざとらしく座り込んでしまうと、Mr.ビーンのやうにずるずると滑り落ちてしまう・・・
いずれの状況も奇妙でバカらしく、日常生活において全くあり得ないワケではないが*3、そこが楽しいのであって目くじら立てる必要は無いのである。要は「ユーモア」の問題なのだ。
でも、わざわざ言及する必要も無いかもしれない・・・
(−_−)
       
         
         

*1:不気味なNOVAウサギのものよりもうんと楽しい

*2:最新のものではなぜかニホンゴで「タスケテクダッサーイ」などと言ってゐるが、いっしょに現場を見てゐたOLの友人のひとこと、「あれ、えいごじゃなかったよ〜」の台詞がたいへん効いてゐる。Bonjour Mademoisell, てう仏蘭西語によるバージョンも有ったやうな・・・

*3:その確率は、海外旅行にでかけてふと入ったレストランで潜伏中のウサマ・ビン・ラディンに遭遇する確率や、家で寝てゐて隕石の落下に因って死亡する確率に等しいだらう