霜々

これはお山の霜柱

霜立ち、霜降る。
夜半に風止み、海辺より霧立ち昇るの時、朝方は置き惑はせる白菊の花。自動車のフロントガラス、暖まるまで薄氷の結晶世界哉。
足下も然り。やうやう溶け始めたるその叢のおもての、さくりさくりと濡れ沈みたりけるに、疑ふらくは是地上の霜かと。
然り。
     

結晶世界 (創元SF文庫)

結晶世界 (創元SF文庫)

今は昔、偏狭な想像力を駆使して大いに読んだバラードの幻想的世界。どこまでが現実で、どこからが想像なのか判然としない不可思議理不尽な美しい結晶世界。この世ばかりか、宇宙そのものが結晶化して行く幻想的な過程。人間の意識も結晶化して、物理的観測が可能なのかしらむなどと、思ひ悩んでゐたのは中学生の頃のおはなし出てこい!
       
さておき、    
昨今、大いに文章を捻る。捻くり回す。切り貼り、増補し、挟み込み、水増し、肩すかし、浴びせ倒す。
もっとも、ページ数には限りあることとて、所詮大増幅も大削除も叶はず、掌中で捏ねくり回すに留まれり。
いくら液晶式筆記本電脳でも、毎天十数時間も睨めっこしてゐては、さすがに眼精疲労激し。
遠景として堂々と鎮座まします権現の杜のチカラを借りて、しばし目を閉じ瞑想するふりせり。
俄仕立て故、疲れは取れても悟りは得られず。
理之陶然哉・・・
正に霜月。