濃縮

土器は知ってゐる

中島氏とともに、八ヶ岳山麓の井戸尻ムラへ。
特急あずさで中央線を辿り、甲府盆地を俯瞰。忽ち行く手には雄大八ヶ岳がおわす。
小淵沢駅にて小林公明氏直々のお出迎へを受け、恐縮至極。直ちに考古館に入り、先づは偉大な神像土器と面会。ケースも新調され、厳然たる神々しさは更に格別の趣。今回、遂に観念して同行された中島氏も、居並ぶ土器を中心とした文物群に圧倒されたやうで、食ひ入るやうに魅入ってゐる。樋口氏に加へ、諏訪在住の偉大な編集者であり幻視者である田中基氏(遂に『縄文のメドゥーサ』を上梓)も合流され、挨拶もそこそこに各人各領域各分野からの情報交感や文物実見、または画像提示の応酬となる。
先行して次々と出現する大陸紅山文物に圧倒され、既に考古学的観察眼と触手感覚の領域は飽和状態。小生は昨日神田で行った西藏的幻灯で応答。小林氏田中氏らから為される質問に答へつつも、数時間は忽ち経過せり。
一方中島氏は、樋口氏とともに館蔵展示物を偏執狂的に激しく観察。小林氏、田中氏をして近年これほどの熱心さで見る訪問者は稀なりと言わしむるほど。さすが、希有なる言語感覚と文才を持つ現象形質学研究会の論客、此処よりタダでは帰りますまい。
いつしか黄昏時を迎へ、小林氏の作業机正面の大窓正面遥か彼方には、薄紅色から黄金色に照り映ゆ富士山の勇姿。
   

   
夜の部は茅野市駅前の中華風土蔵牢獄へ移動。月の支配する時間に相応しく、日中とは違った更なる濃厚な世界に各人が言及。紹興酒の力添へも有り、此の宇宙の構造の根幹に係わる超級重要な主題が延々と話し合はれる。斯くの如く、世界の真理は月光の下、巷間の密やかな片隅で解読され続けてゐたのだ。
歓待して頂いた諸偉人(異人)の皆様に、感謝!
     
     

甦る高原の縄文王国―井戸尻文化の世界性

甦る高原の縄文王国―井戸尻文化の世界性