旅ならずとも

トマポッドキャスト?

芭蕉ならずとも、旅心揺り動かされることしばしば御座ゐますです。
旅が必ずしも現実逃避の極北とは限りませぬが、必要欠くべからざるもののうちの筆頭に位置するものでありますことはもはや間違ひ無きこととて、いざ行かむ。
(- + -)閉鎖中
旅、とりわけ異国に身を置く効能の一つに、我が邦での日常では決して発露されることのない感覚の発現に因るドーパミンの放出がある。その影響は言語野のみならず、寧ろ本能的行動領域に顕著となり、理性をも揺るがし、抑圧され鬱積した欲求を開放に導く。我輩の場合に限っても、感情の起伏はそのピークを変へ、普段決して表に出すことのない振幅で表現するし、日本語では灰色帯に属するはずの諸返答も0と1のデジタルモードに切り替へられる。五感の開放と同時に感情の抑制。軽率な行動や意思表示が時には死を招くやもしれぬ状況下、自分の存在全てが何か大きな者に因って試されてゐるやうな不安と快感。そんな複雑な麻薬性が、旅には秘められてゐるのだ。
(- + -)開放中
足下や近くや周囲を見てゐるやうな顔をして、その実どこか遠い虚空ばかり眺めてゐるのかもしれないな、などと今更思ふ冬の黄昏。


アルケミスト - The Alchemist 【講談社英語文庫】

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