入浴剤式

コチュ風呂なんてのもイッソムニカ?

飲用にも適する良質な軟水を沸かせた湯には何も入れず、そのまま身を沈めるのが一番良いであらうことは重々承知の上なれど、何かしらの入浴剤を投入して着色した湯に浸かることも、このところの密かな楽しみなのである。
タラソ然り、酵素風呂だの緑茶エキスだの、フルーツ酸だのミルク成分だの何だの、おおむね安価な入浴剤の主要成分は炭酸水素ナトリウムと硫酸ナトリウムや塩化ナトリウムなどだ。見れば保湿成分と称し、プロピレングリコールだのアロエエキスだの、その他の成分としてはジプチルヒドロキシトルエンだのパンクレアチンだのチャエキスだのサンザシエキスだのグレープフルーツ・リンゴ・オレンジ・レモン・ライム果汁だの海藻エキスだの、青色1号だの黄色4号だの香料だの何だのかんだの、極めて微量だがいろいろなものが入ってゐるものだ。
いずれの入浴剤もその効果として、疲労回復・肩こり・腰痛・神経痛・湿疹・荒れ性・冷ゑ性や、お肌しっとりだのお肌すべすべだの、ホントに効くかだうかは別にして、黄緑橙黄橙、赤や青に着色されて何らかの芳香嗅ひで湯に浸かってゐると、何となく疲労が消滅して行くやうな気になるから不思議なものだ。
その昔、入浴剤と言へばバスクリンだったワケで、それは少量投入しても可成り毒々しい緑色が広がり、香りも面妖なものだった記憶がある。今は所謂自然派や自然風が主流となり、硫黄系のムトウハップだの湯ノ花だのはマイナーな存在のままなのだらう。昨年だったか、どこかの温泉地がこの種の入浴剤を投入して濁り湯を再現してゐたことが発覚して大騒ぎになったが、天然温泉には今主流の入浴剤の如き色は付いていないのだから、「温泉を再現したものではありません」と注釈の書かれたものがあるのも当然のことだ。
兎に角、今宵はその名も「緑茶湯」と称する安物入浴剤で人体実験するなり。
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