琵琶・枇杷・比巴?

淡泊而且美味!

いただいた枇杷の実をしげしげと眺めてゐるのだが、一般に枇杷と書けば果物であり、琵琶と書けば楽器のことだらう? 辞書を引くと、

 
琵琶:中国・朝鮮・日本の弦楽器の一。木製の胴に柄があり、四弦*1。同はなすび形で平たく、長さは60〜106cm。日本では主に撥、朝鮮・中国などでは義甲または爪でひく。起源はペルシャ・アラビアとされ、インド・西域・中国を経て、奈良時代にわが国に伝来。時代・用法・形状その他によって楽琵琶・平家琵琶・盲僧琵琶・薩摩琵琶・筑前琵琶などがある。よつのお。胡琴。
 

とある。形状が「なすび形」てうことは、果物の枇杷とは無関係であるかの如き解説であり、頗る不可思議な解説であり、これでは琵琶法師も浮かばれまい。
それではと、次に枇杷の学名方面から接触を試みる。意外なことに枇杷は薔薇科の植物だったのだが、学名は Eriobotrya Japonica とのこと。Eriobotrya はギリシャ語の erion(軟毛・羊毛)+ botrys(葡萄)が語源で、表面が白い軟毛で覆はれた実が葡萄のやうな房になることから来てゐるらしい。japonica は百科事典のことではなく、「日本の」てう意味だ。ところが更に調べて行くと、「葉の形が楽器の琵琶に似てゐることから名付けられた」とあるではないか。(-_-)?普通に見かける枇杷の葉は楽器の琵琶のやうにさほど下ぶくれでもなく、さりとてなすびのやうにもなってゐない。
調べてゐるうちにワケがワカラナクなってきたが、いずれにせよ発音は「びわ」であり、中国語でも「ピーパー」なので、どちらかが語源を内包してゐるに相違無い。琵琶湖や枇杷島はさておき、卵が先かニワトリが先か?と神に問はるれば些か返答に窮するものの、琵琶が先か枇杷が先か?と隣人に問はるれば、植物学的な意味としては枇杷が東亜細亜に自生してゐたのだから、ともすれば人間より先に有ったワケだ。でも万一の可能性としては、人間が先づ琵琶なる楽器を発明し、その後その形状を援用して枇杷と呼んだ可能性も無きにしも非ず。しかしその為には枇杷のいずれの部分が琵琶と似た形状を有する必要が有り、そこに辞書的にはなすびが介入して来ると話が誠にややこしやになってきて、詰まる処はあとは野となれ山となれ。枇杷が美味しくて、琵琶が心地良き音を奏でておれば、なすびが実らうが焼茄子におろし生姜が添へてなからうが、どっちでも良いではないか、てう結論になった。でも焼茄子のおろし生姜は、矢張り有るに越したことは無いし、水茄子の漬け物は暑気払いには最高だ。秋茄子を嫁に喰はせてはいかんと言ふなら、ボケ茄子は誰に喰はせれば良いのだらう? そもそもボケ茄子だのオタンコ茄子だの、何故になすびばかりが集中攻撃されねばならないのだらう??
(-_-)♪?!何の話でしたか???

琵琶

*1:五弦のものもある=正倉院のものは確か五弦だっけ