長きものども

戦慄の形状

梅雨が近づき、長ゐものが恐ろしい頃になった。長ゐものは見るだに恐ろしく、じぐざぐぎざぎざざわざわいささか仰山の足が有り、みてくれ通りの名前が付いてゐる。その名も「百足」!
ムカデの恐ろしさは遺伝子に刻み込まれたものであるやうで、古くは地面を掘り下げて建設されてゐた竪穴住居の昔、即ち縄文の昔から我々を悩ませて来たに相違無い。我が陋屋は典型的な田舎の日本式家屋であり、母屋の年季も既に100年近くに達することが偉人に因って解明されてゐる。縁側や土間は言ふまでもなく、母屋に隠居部屋、門長屋を従へた堂々たる面構へだ。中庭の英国式庭園?は偉人自らが10年の歳月をかけて構築してきたものだが、片隅には小規模な野菜畑も有る。些か奇妙な英国式庭園であるが、何せ本人が英国式と云ってゐるのだから致し方あるまい。さておき、家屋のぐるりは植物が縦横に繁茂し、土に囲繞された家屋であるし、床下も不必要な湿気除去剤など散布していない土であるので、ありとあらゆるものが棲息してゐる可能性は否めないのだ。梅雨の終はり頃、これから真夏にかけて、彼らは確実に巨大化し、母屋に向かって無限に侵入して来るのだ。いったい何を喰ってゐるのだらう? 彼らの目的はただ一つ、「偉人の血」である。
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事の真偽はさておき、長ゐものとしてのムカデは有無を云はず恐ろしいが、昨夜は可成り巨大なものが台所の流しに出た。使用せるコップだの食器だの、さて洗わうかしらむと海綿を手にしたとたん、食器に隠れてゐた巨大なムカデが出現したのだ。(長さ約11cm)彼らの目的はただ一つ、偉人の命を狙ってゐるのだ。事の真偽はさておき(2回目)、普段より訓練せし反復横飛び運動の成果を大いに発揮し、電光石火の勢ひでトングを手にし、一瞬にして排除したのだが、「ムカデは2つに切るより即刻3分割せよ」てう古代バビロニアの諺に従ひ、特製凶器で長きものを3つに分断処理した。ところがその後がいけない、大ムカデの退治で安心してしまい、食器を洗ひ終はってふと振り向くと、土間の片隅に巨大な長きものが居るではないか。即ちそれは1m近いアヲダイシャウであり、青緑色に鈍く光る体躯を長々と横たゑてゐるのだ。これまたムカデ以上に遺伝子の深層に刻み込まれた恐怖感が発現し、動悸も上昇し、足が竦み息が止まる。数十秒の睨み合ひが続き、アヲダイシャウは何事も無かったやうにしゅるしゅると土間と床板の隙間に消へて行った。
思へば、このところへっぽこネズミが出ないな、などと思ってゐた矢先のこと。陋屋の床下には小さな食物連鎖が形成されてゐるので、何かが出なくなれば、それを喰らふ何かが棲んでゐるてうことなのだ。それら全てが出てこないとなると・・・、即ちそれが大地震の前兆なのかもしれないな。
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龍と蛇 権威の象徴と豊かな水の神 (アジアをゆく)

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ナーガ=蛇=龍=長い=ナギ=ナガ=ウナギ