白鳥の何たるものか

Neuschwansteinこと、新白鳥城

今回ネットオークションで落としたCDは、ワーグナーのオペラ「ローエングリン」。ゲオルグショルティ指揮、ウィーンフィルローエングリンプラシド・ドミンゴ、エルサ;ジェシー・ノーマンの他、ディートリッヒ・フィッシャー・ディスカウなどなど錚々たる顔ぶれ。1985-86年録音、トータル222分、DDD、デッカの輸入盤で4枚組。お値打ちなる落札価格で、大満足。
ワーグナー:ローエングリン全曲
ドミンゴは昨今の円熟した艶とは違った少し渋みのある声で、ノーマンもかつて巴里で「ラ・マルセイエイズ」を聴いた時とほぼ同じ頃の迫力。昨年は巴里シャトレ座プロジェクトによるモノオペラの2本立て、シェーンベルク「期待」et プーランク「期待」の独演だったが、鬼気迫る呪術師的存在感は単に風貌ばかりならず、かなり若い頃から保ち続けてゐる雰囲気だ。さておき、個人的にはエルサ大聖堂への入場に至る音楽と情景が好きなので、2度聴いてしまわう。
ローエングリンは謎の騎士、白鳥に引かれた小舟で出現する冒頭はよく考へると奇妙で滑稽だけど、ケルト的要素に満ちた神秘と謎の物語りで、日本の話に例へればぶっちゃけ<鶴の恩返し>。彼の素性を訊かぬ事を約束して結婚したエルサだが、だうしても秘密が知りたくて尋ねてしまう。意外にあっさりと、彼は聖杯王パルジファルの子であることを告白するも、ハイそれまでヨ。お約束の?お迎へ白鳥が来るあたりは「かぐや姫」的でもあるな。とりわけ「第三幕への前奏曲」や「婚礼の合唱」はそれぞれ単独で演奏されるほどの名曲だが、狂王ルートヴィッヒが心酔しきった神秘性はどのあたりなのだらう?
さういふあれこれに思ひを巡らせれば、池に白鳥の形をしたボートが浮いてゐることにも何やら神秘性を感じた方が良いのかも知れないし、感じなくても良いのかもしれない。我輩のご幼少時は、確かオマルも白鳥形だったやうな・・・
(^_^;)不謹慎かも?!