冬至記

巨大閉塞石なりけり

冬至なりけり。冬至なりける。
太陽の力が一年でもっとも衰へる日。古代人は太陽の再生を希求し、様々な祭や儀式を行ったのだ。アイルランド紀行の際訪れた巨大遺跡であるニューグレンジ古墳。神秘に満ちた三連の渦巻き模様の刻まれた巨大な閉塞石で結界された羨道は、奇妙に曲がり乍らも18mも内部に向かって続く。ただ冬至の朝日のみが、羨道最奥の玄室を照らすことが出来る。考古学用語で円形羨道墓と呼ばれるこの壮大な墳墓は、約5000年前の石器時代後期に作られたものであるてう。
古代の秩序は二至・二分である。即ち、冬至夏至春分秋分が循環の基準。弱々しい太陽の蘇りを促すため、人々は火焚き、テダに生け贄を捧げて祈り続けてゐたのだ。昼間の長さはこれから長くなる一方だが、寒さの方はこれからが本番。いくら暖冬とは雖も、冬は寒いのである。
それにしても今日の強風、狂風はまさにキチガヒカゼ。山も靡けとばかりに吹き狂ふ北風は、屋外にて工作中の我々を襲い続けた。立ってゐるのもままならぬほどであり、絶ゑ間なく風と共に吹き付ける砂粒が、目鼻ばかりか体中に入り込み、つひには口中さへざらざらさせて、思はず吐く唾や洟さへも黒くなるほど。いと恐ろしき哉。これぞ冬至らしき状況? とにもかくにも、目に入った砂が目薬でもなかなか流れず、たいそう困り果てましたりけるかも。。。
南瓜冬瓜柚子など無かりせば、大根のおでんにて代用いたしませり。紫芋も蒸しにけり。
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