茶花茶華茶鼻茶端

深紅の薔薇、3輪咲きにけり

山茶花は既に散り始め、庭の椿も落ち始め、茶花の盛りも済んでしまって、ツバキ科の花々は勢揃い。即ち冬の様相である。晩秋から木々の足元を照らしてゐた石蕗も、水仙の花にその座を譲りつつあるが、偉人の庭では名残の薔薇が咲いてゐる。
思へば庭の葡萄が妙に鈴生りの上出来であったことは、この夏の暑さを物語るものだし、間接的にはボジョレ・ヌーヴォーの出来の良さに反映されてゐるワケだ。妙な時期に予期せぬ植物の花が咲けば、人は一抹の不安を感じることが多い。天災や不幸の前兆であると感じる人もいれば、吉兆と解釈する人も居るワケだ。今年も暖冬になるであらうことが予測されてゐるが、畑地の路傍では蒲公英が咲いてゐたし、庭のレモン・ユーカリも二度目の芽吹きを迎へてゐる。ちょっと変な具合だ。人間様は生物的に鈍感になってしまってゐるが、植物類は改良種とはいへ微妙な環境変化に敏感なのだ。
さておき、昨夜の双子座流星群、深夜2時前まで小一時間天空を眺めてゐたが、短くも美しく燃へたりける光跡いくつも漆黒を横切り流れ、どこからか目覚めよと呼ぶ声さへ聞こへにけり。美しき光跡の儚さよ。