テトラ崩し

いくつあるのだらう?

人は虚しくもテトラポットを作り続け、海岸を波濤から護らうとしてゐるワケだ。
いくつものダムによって水量が激減し、同時に自然な土砂の流出が阻まれてしまったため、海岸はやせ細り、砂浜は消滅し、波触崖の崩落は加速する。海岸の砂上にいくら巨大なテトラポットを積み上げやうとも、波濤の破壊力は絶大であり、すべてのものはやがて流失し、消滅する。誰も一旦出来上がってしまったダムを壊そうとはしないし、そもそも目に見へない原因のことなど関心が無いのだらう。
近くの町の港に並べ置かれたこのテトラポット、今まで見たもののなかで最大級のもの。太平洋岸に設置されるため、これくらい巨大でなければ意味がないのだらう。かくも巨大なものだが、外洋の波に揺られ続けると果たして何年くらいもつのだらうか。溶け出したコンクリート由来のアルカリ成分は、再び何処に堆積するのだらうか。とにかく、今年の台風と地震の集中攻撃で、近所の海岸に並べられた古いテトラは砂堆ごと沈降して崩落し、波打ち際の砂浜に散らばって埋もれたままだ。ああいふものを誰がどうやって片づけるのだらうな、などと漫然と考へてゐたのだった。
今日は予想外に風強く、体感温度極めて低く、荒野のただ中にゐるのは辛かった。せめて風さへおさまってくれたらなー・・・
(-_-)