手羽先と地震と出産の神秘

まだ、食べない

この間は手羽元だったので、今回は手羽先である。
別にトリ1匹を全て喰ひ尽くさうとしてゐるワケぢゃーないのだが、トリ肉が好きなだけ。トリとの付き合ひは物心付ひた頃からであるが、本格的な交流は大学生になってからのこと。今で言ふケンタこと、ケンタッキーフライドチキンでのバイトに始まるワケだ。男は店長を除き基本的に調理係であったので、裁断されたトリ肉の下ごしらへ(残った毛や内臓、余った皮を切ったりいろいろ)に始まり、フラワーまぶして圧力釜への投入から取り上げまで、流れとして一通り世話してゐたワケだ。そんな影響が無いワケでもないが、トリ肉ことかしわはご幼少の頃から好きだったので、捌きも諸作業も別に苦にならなかった。寧ろイヤだったのは、真冬のコールスロー当番だ。機械で微塵切りにした大量のキャベツ・ニンジンなどに大量のマヨネーズを混ぜて手で混ぜるワケだが、指先がかじかんで凍傷になってしまふのではないかとさへ思はれる恐ろしい作業だった。食べる分には、何ら苦になりませぬが・・・
ケンタでのバイト期間中に驚いたことはいろいろあるが、日本での出店キリ番の記念店てうことで、まんだ生存しておられた創始者カーネル・サンダー氏が店にやってきたことが筆頭だな。店頭の例の人形は壮年のふくよかな頃のカーネルおじさんだが、実物は年齢を重ねられて顔が少し痩せておられたが、にこやかさは神々しかった。次に驚いたことは、開店記念のキャンペーン中に何人かのお年寄りが、「かしわのササミを200gおくれ」だの「モモ肉の照り焼きは無いの?」なんてうことを言って、何人も来店したてうこと。メリケン風のトリ肉屋が開店したと思ってゐたのかしらむ??? この手の客はクリスマスのキャンペーン中にも何人か出現した。「かしわのムネ肉を300g・・・」 そんな田舎でもないんだけどな・・・(-_-)
今回の手羽先は、中華式五香粉と塩コショウで下味を付けた手羽先に小麦粉をまぶし、比較的高温でカラリと揚げる。まだ、食べない。その後、醤油・紹興酒味醂・砂糖・南蛮・八角を入れて鍋でコトコト煮込み、煮汁がタレの如くしっかり染み込んで無くなりかけた頃、出来上がり。酒飲みにはアテにもなるし、白い御飯に良く合う料理でもある。
などと蘊蓄あれこれ垂れて手羽先揚げてゐるうちに、グラリと地震。震度は1くらいのものだったが、気になってテレビを見ると、新潟大変。心配して朋友宅に電脳郵件にて安否を尋ねれば、幸い無事とのこと。あちらはあちらで、タイ風手羽先焼きを作っておられました。妙なシンクロ。
別の朋友奥様は、今朝深夜に男児ご出産。おめでたうございました。m(_ _)m