海とお山と丸石のこと

我輩は麻呂である

秋天快晴。お山に登る。
お山に登り、石を運ぶ。お山の石は白くてごつごつしてゐて、とっても重いのさ。ごっついお山の石の山、山の石のまにまに積もる海の石。海の石は丸くて小さいけれど、お山の上にいっぱいあるのさ。
どうして海の石が、こんなお山にあるのかな? それはね、昔の人がね、お山に登る時に運んできたからなのさ。昔はね、お山に登る時にはね、かならず近くの海に出て、丸くてきれいな石を拾って来たものなのさ。そう、お山に登るためにはね、先に海に行かなけりゃーいけなかったんだよ。
海岸で、きれいな丸石をみつけたら、それを懐に入れて暖めて、心を込めるのさ。そうさお山に着く頃にゃ、丸い石は暖まり、心もこもり手に馴染み、ほんのり汗さへかいている。
どうして海の丸石を、お山に持って行くのかな。どうして海の丸石を、お山に運んで行くのかな。ホントはね、海とお山は仲良しなんだ。
お山に降った雨たちは、みどりの雫をいっぱい集めて、沢を巡り谷を下り、川になって海に向かって流れて行くよ。山のお水が流れて行くよ。川を伝って流れて行くよ。流れ流れて海まで行くよ。そんなお水がいっぱい集まって、大きな海になるんだよ。
大きな海で洗われて、四角い石も丸くなり、丸い小石は砂になり、砂粒溜まり浜となる。そんな渚の海岸で、人が丸石ひろうのさ。みつけた丸石携へて、人はお山に登るのさ。丸石お山に積んで行く。丸石お山に帰ってく。
今天は「愛と石と壺の日々是精進」であった。
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