過去数年でもっとも不快感が高まっております

川が濁ってゐると思はれます

いつ頃から言はれはじめたのだらうか、何かとっても違和感有る、イヤな言い回しだ。
「この地方では、過去数年でもっとも土砂災害の起こる危険が高まってゐる・・・」
何故危険ならはっきりと「危険でありますので、用心してください」と言へないのだらうか? 今年は10個目の上陸台風であり、何度も何度もこのフレーズを聞いた。「過去数年間」とは何年間のことなのか? データが有るのだから、過去3年間だの2年間だの、はっきりもの申すが宜しひ。確か先の台風でも「もっとも」と言うたし、今回も「もっとも」と言うておるが、今年は「過去数年間でもっとも」があと何回有るのだらう?
このイヤな違和感は、「梅雨に入ったものと思はれる」てうフレーズと同質のものだ。何かはっきりしない、はっきり言い切らない、煮え切らない不快感がたまらなくイヤだ。友人達と外食にでかけ、料理を食べながら、「これは過去数年間でもっとも美味しい料理であると思はれます」などと言へば、直ちに変人扱いされることだらう。
日本語の場合はっきり表現しないことが美徳である場合も、確かに有る。しかしさういふ曖昧性は、奥ゆかしさや心理的情緒的な心情を現す技法であったり、人間関係を円滑にするための方法であったりするのだが、正確さや断定を必要とされる情報分野には無用のものではないだらうか?
とにかく暴風。今回は激しい雨が一足先に終はり、すでに夜空には月まで見へてゐるが、風は家が軋むほど強い。夕方には長い停電があり、蝋燭に火をつけてラジオ聞きながら1時間以上、暗闇の中で過ごした。幸い電脳の再起動に影響はなかったが、電気への依存度が余りにも大きいことを再認識した。大昔にもこんな台風は来襲しただらうから、縄文人は竪穴住居も吹き飛ばされただらうし、巨大な出雲大社も倒壊したことだらう。いつも見かける野良犬や、野鳥たちはどこでどのやうにしてこんな暴風雨をやり過ごしてゐるのだらう、などと、ゆらめく炎を眺めながらいろんな事を考へた。
ところで、これが今年最後の台風???