アッ・サラーム アライクム

アニ君からのメッセージ

アルカイダの御陰で?、NHKアラビア語講座が始まった。集中講座からレギュラー講座への格上げ、てう具合なのだが、個人的に大変嬉しい。アラビア語の通用する国々は意外に多く、アラビア半島諸国以外にエジプト、スーダンリビア・ジャマヒリア、チュニジアアルジェリア、モロッコなど、北アフリカの国々がアラビア語圏だ。イランでも通じないことはなかったが、あくまでもあちらはペルシャ語なので完全に相通じるてうわけではない。
最大の難関は、言ふまでもなく文字だ。キャラクターは全部で28種類あって、基本的に子音。母音は上や下や脇に付く記号のやうなもので、省略されることが多い。ハングルの場合はその殆どがアルファベットに置換出来るので、リエゾンパッチムの感触を覚えてしまへば、劇的に難しいワケでもない。文法もよく似てゐるし・・・ ところがアラビア文字は曲者だ。それぞれの文字が筆記を前提にして細かく変化するワケで(独立形・語頭形・語注形・語尾形)、単語ごと文字の流れで覚える方が得策だらう。文章は右から左に書くが、文中に出てくる数字は左から右。日本語で例えてみれば、
「るあで字文28は本基の字文アビラア」てうことにでもならうか。
そもそも「アルファベット」てうコトバは、アラビア文字のはじめの3文字である「アリフ」「バー」「ター」に由来するものだし、最近耳に馴染みになったタリバン(ターリブ)、ジャズィーラ、モロヘイヤなどもアラビア語だ。何とかして複雑にくねる文字を克服して、多少の会話にまで至りたいものだ。
実は巴里に潜伏中、アルジェリア出身の友達がゐた。彼は完全なバイリンガル(アラビア=フランス)だったが、彼との日常会話はフランス語と原始的な英語で行っていた。そんな或る日、屋根裏部屋に訪ねてきた彼が差し出したのは1冊の本、「Arabic」即ちアラビア語の語学学習本だった。イギリスで出版されたものなので、本文は英語で書かれてゐるが、アリフ・バー・ターから文法まで、一人で学習出来る内容になっていた。彼の名はアニと言ったが、会うたびに我輩が「これはアラビア語で何と呼ぶ?」だの「これは何と書いてある?」だのとしつこく聞くので、少しは自分で勉強しなさいてう意味が込められてゐたのだらう。穏やかな性格の彼はイヤな顔一つせずに、アルジェリアのことやアラビア語のこと、イスラムのことを教えてくれたし、何度か一緒にアフリカ料理屋にクスクスを食べにでかけたものだ。我輩が巴里を去る直前に、彼はアルジェリアに帰って行ったけど、その後の消息は知らない。本の扉に記されたアラビア語の意味は、やうやう大まかに解読することが出来たが、いつの日かフランス風アルジェなまりのアラビア語(アーンミイヤ)で会話してみたいな。
そんな夢を実現するためにも、この超級台風を乗り切らねば・・・ (-_-)