和製和風和的和式

ウサギは鳴かないの?

アメリカ合衆国の大統領が誰に代はらうとも、大英国島の首相が何の手術をしやうとも、無闇矢鱈に意味のわからんカタカナ英語を日本語に導入することには反対だ。慣れの問題であるかてうと、そのやうでゐてさふではない。快不快の問題に単純化した方が本質に近いが、それでは理性の所在を問いただされさふだから、「言霊世界への帰属に関する根源的な危機感」とでも形容しておかう。とにかく、以下の諸例を見よ。(今夜は天気予報も見よ!)

なぜか日本語訳はほとんど漢字になってしまうのだが、カタカナ英語といったいどちらがわかりやすいのかと言へば、我輩の場合は断然漢字側である。何故にわかったやうな気がしてゐるだけのカタカナ英語を使わねばならないのかてうことは謎であるが、アイデンティティー(何と訳す?)の問題であらうか? これらの不快分子たちのなかで、このところとりわけ不快なのは「コラボレーション」だな。分野を越えた芸術家たちが作品や場を創出する場合、「共同製作」で何の不都合がありませうか? それと、福祉や介護の問題が注目されるに従って、矢鱈に「バリアフリー」が使われるが、年輩者やお年寄りに通じてゐると思ってゐるのだらうか? これらの延長線上にあるのかもしれないが、意味不明な和製英語も幅を利かせてゐるぞ。「デイサービス」を筆頭に、「アフターサービス」「アイドリングストップ」「スケールメリット」「リサイクルショップ」「オーダーメイド」「マイナスイオン」「シルバーシートe.t.c.
勿論枚挙に暇がない状況であるが、今のところの「マイベスト」は「ハローワーク」だ。意味不明さでは群を抜き、偉大な将軍様級のものではないだらうか。「お仕事こんにちは」? 「挨拶仕事」? 「おはなしでてこい」みたいでもあるし、子ども扱いどころか原始人扱いされてゐるやうで、失業者をバカにするにもほどがあるてうものだ。なぜこんなに不機嫌かと言へば、今夕民間の調査機関から電話が入って、「アウトソーシングに関するオピニオンアンケートにお答えいただけませんか」などとイケシャーシャー(何語?)と流暢にのたまったのが、我輩の気に障ったのだ。「No, thank you でございます」と言って切ってやったさ。
その祟りかどうかは不明だが、最強超級台風急北上の予兆にしては余りにも激しい雨が続いてゐる。尋常な雨量ではなく、すでに庭は水浸しだ。この分だと今夜は雨漏り対策で眠れないかもしれませんね、ウサギさん!?