御心配?

どこの駅でせうか?

走行地域が火山地帯てうこともあったが、今回温泉銭湯も含めて5箇所もお湯につからふとは、予想外であった。いずれも個性豊かであり、さらりとした感触もあればぬるっとしたお湯もあり、濁り湯もあれば青みがかったお湯も有った。
この恩恵は火山列島に住まう者の特権ではあるが、有史以来天変地異として何度も何度も古代の人々に災ひをもたらしたことであらう。火や煙や灰や石を吹く火山は神の顕現であり権化であり、象徴であり意志である。大地は不易なものではなく、揺れ、割れ、崩れ、流れる不安定なものであり、常に人々の祈りを必要とする存在である。そこには必然的に、火山列島独自の生活様式や生業や信仰が醸成されるのであり、それは其処にしかないものなのだ。異質な神の存在は往々にして侵略や戦ひの結果であり、古代にその土地の辿った記憶の残像でもある。
結局昨夜は遠雷響く新門司港を黄昏時に出港し、稲妻を追うやふに瀬戸内海を東行。大型夜行フェリー内部は大阪の巨大遊園地に向かふ無数のコビトで騒然とし、何処彼と走り回る彼らを時々叱りつけてみたり、韓国人大学生グループの指南してみたり、食堂で高いサンマ食べてみたり、強すぎる冷房に震えてみたり、隣のオヤジのイビキが我慢ならず突っついて起こしてやったり(2度)、人間工学を超越した四角く小さな枕に辟易してみたりしてゐるうちに夜が明けた。勝手知ったる大阪南港をしゅるりと脱出し、ニュートラムや地下鉄を乗り継いで鶴橋へ。ぼちぼち店の開き始めたコリアンタウンを一通り彷徨ひ、この街に不釣り合いなオシャレな喫茶店を発見し身を沈め、珈琲すすってくつろぐ。但しその安らぎもほんの15分ほどであって、頭にヘアーカール?巻いて七色のスパッツ穿いたおばはん(タバコもくわえておったな)の乱入に因り終了。あとは一路西を目指し、急行快速鈍行やフェリー乗り継いで帰宅。
メール17本のうち4本は、数日この日記の更新が絶ゑてゐることを心配した不安倶楽部メンバーからのものであった。「死んでません?」だの「死んだんじゃないかしら」だの「病気で倒れてゐるのでは?」だの、ご心配される所以は重々承知の上なれど、何故に「行き倒れ」方面に心配が偏りがちなのか、ちょっと気になるお年頃であります、はい。「おでかけだったのかしらむ?」「仕事忙しいのかしらむ?」だのてうお問ひ合わせの無いところが、味噌せうゆ。